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一つの物語が終わる。
そして新たな物語の幕があがる。
それは喜劇か悲劇か・・・
死神からの招待状~1st Stage~
『賢者の石』
『リオンには手を出させない!!』
俺は意識が僅かに浮上して最初に聞いたのは、リドルの怒号だった。
リドル?なんで叫んでんだ?
「まったく強情な・・・だが、こんなにも長時間結界を張り続けていたんだ。そろそろ限界だろう?いい加減ご主人様と融合したらどうだ?」
クィレル?
『何度言わせる気だ!ジェームズとリリーを殺し、さらにハリーやリオンにまで手を掛けようとした奴と、一緒になれるものか!!!』
ジェームズ?リリー?それってハリーの両親の名前じゃ・・・くそ、体が動かね~し、目も開かね~・・・こんなんだったら、毒物の訓練しとけばよかったぜ。
「あなたが!?」
俺はその時、不意に聞こえた声に驚愕した。
ハリー!?
そんな!?もうそこまで展開が進んでいたのか!?
「!!リオン、どうして君が!?」
ハリーの驚愕した声が聞こえる。
当たり前か。何日も(それ以上かもしれねぇが)行方不明になっていた友人が、こんなところで寝転がってるからな。
「彼が犯人なんですよ、ポッター。」
こらー!デタラメ教えるなー!!
『クィレル・・・キサマ!!?』
「ミスター神楽の横に立つ者がその証拠・・・あれこそヴォルデモート卿なのです!!」
いや、当たってる・・・当たってるけど、リドルはリドルなんだぞ?ヴォルデモートとは別なんだよ。
ちきしょう、体が動いたら・・・つか、眼も開かねー!!
「そんな・・・リオンが僕を裏切るなんて・・・」
ハリーの動揺が、眼が開かない俺にもわかった。
そこにクィレルが畳み掛けるように言う。
「さぁ、ポッター!私と一緒にあの者を倒すのです。あなたのご両親の仇を・・・ジェームズ・ポッターとリリー・ポッターの仇を!!」
『おまえごときがジェームズとリリーの名を口にするな!ハリー!早くこの結界の中に入れ!!』
あれ?なんでリドルがそこまでハリーの心配を?もしかして、ブレスレットの前の所持者って・・・
「・・・・・・」
ハリー?
「なんのつもりかね?ポッター」
なんだ?なんかわかんないけど、ハリーが結界の中に入ってくれたんだ。
「わかりません・・・けど、彼が真剣だってのがわかったんです。それに僕は友達を信じます。」
俺の耳に「エネルベート」と唱えるハリーの声が届き、すぐさま自由になった体を起こした。
「サンキューな、信じてくれて。」
「リオン!」
ハリーの笑顔が、今の俺にはちょいと眩しいわ、こりゃ。
『まったく君は起きるのが遅いよ。』
そう言ったリドルの顔を見ると、疲労の色が濃い!
「一体どれくらい結界を張り続けてたんだ!いくら俺が魔力を注いでも、限界があるだろ!?あとは俺がやるから、りどるんは戻ってくれ。」
『いやだ・・・と、言いたいところだけど、流石に君やあいつの言うとおり限界が近い・・・死ぬな。』
リドルはそう言ってブレスレットに戻っていった。
と、同時に俺とハリーは魔法の縄で縛り上げられちまった。
「うわ!」
「しまった!」
ペンダントの魔法反射もこの手の魔法は対象外かー!!!!
もっとよく研究しなきゃな・・・俺の場合は力尽くで引きちぎれそうだけど。
「まったく、梃子摺らせてくれましたね。あなたたちは、『石』が手に入ってからじっくり殺してあげますよ。」
クィレルはそう言って、鏡を覗き込んだ。
「・・・どこだ?石はどこにあるんだ!?」
クィレルは、『石』が手に入らなくてイライラした声を上げるが、テメーなんかに渡すかよ。
『そいつを使え・・・』
ゾクッ
なんだ?この気持ち悪い声?こいつがヴォルデモートの声かよ!?キモイ!!
「ポッターか神楽か?」
『ポッターを使え・・・』
クィレルはその言葉に従って、ハリーを鏡の前に連れて行く。
ハリーのポケットが少し膨らんだところで、俺の仕掛けが発動!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
鏡の裏側の壁が動き出し、そこに新たな通路が開かれる。
長い通路の一番奥に台座があり、その上には小さな宝箱が一つ・・・
「あれか・・・あの中に賢者の石が!!」
「あ!テメー、ハリーを突き飛ばしていくな!!」
・・・まぁいいや、トラップ始動。
ズガーン ドガーン ドシュシュシュシュ!!
クィレルが通路に一歩入った時点で落とし穴、次にスパイクボール、矢の雨~♪ってなカンジに発動中。
俺はそれを見ながら自分の縄を引きちぎり、ハリーの縄も解いていく。
「お~、見事見事。ぼろぼろになりながらも進むその忠誠心。アッパレ!」
ポン!
「リオン、なにそれ?」
「ん?パプワ扇子。」
手のひらサイズの白い日の出扇子です。
「・・・っていうか、あのトラップって・・・」
「俺のトラップ。世界のマグルのを集めてみました。」
下手したら魔法界のより、マグルのトラップのほうが怖いもんだ。
「リオンが最後の一人だったの!?」
ハリーは驚愕して、俺を指差す。
「おう、ダンブルドアが禁書読み放題と引き換えに・・・」
「へぇ~・・・あ!あの箱、なにが入っているの?賢者の石は僕が持っているんだけど・・・」
ハリーはそう言って、紅い石を俺に見せる。
正真正銘の賢者の石だ。
俺はそれを受け取りながら、クィレルを見る。
言っておくが、魔法を使わせる余裕は与えてない。
「見てりゃ、分かる」
そこで丁度、クィレルが宝箱にたどり着いた。
そんで・・・
ボゴン!!ゴン!!!
「やりぃ!!」
「うわ、いたそ~」
え~、何が起こったのか説明すると。
クィレルが箱を空けた瞬間に、アゴにびっくり箱と同じ仕組みのパンチがヒット!
さらに男の急所に台座がゴン!
てな感じです。
「う・・・く、クッソ~・・・」
あ、まだ生きていた。
「さて!クィレル先生。そろそろあの世に逝きますか?不肖ながら、俺がお手伝いさせていただきますよ・・・ホーリー!!」
俺が最大出力でホーリーを食らわせると、クィレルの体は塵となって崩れていった。
残念だクィレル。まだあんたに光が残っていたら、あの魔法を食らっても生き残れたのにな・・・
「闇に浸りすぎた人間には、ホーリーの聖なる光はたまったものじゃない。あんな風に崩れていくのか・・・」
俺は誰にともなく、呟いた。
自分でさっき人を殺したというのに、とくになんの感慨も浮かばずに。
『おのれ~・・・賢者の石をよこせー!!』
崩れ去ったクィレルから黒い霧のようなものが、僅かに形を成しながらこちらに向かってきた。
げ!ヴォルデモートの野郎、まだ生きてたのか!?
「テメーがどっかに逝きやがれ!バシルーラ!!」
俺の呪文が効いたのか、次の瞬間ヴォルデモートはそこには居なかった。
くっ流石にホグワーツ内で転移魔法を使うと、キツイもんがあるな。
ぎりぎり俺の魔力のほうが、ホグワーツ全体の魔力より上でよかったぜ。
これからは魔力を上げる修行も追加したほうがいいな。
「倒したの?」
ハリーに聞かれ、俺は首を横に振る。
「いや、どっか別の場所に飛ばしただけだ。さ、戻ろうぜ。」
俺は笑ってハリーを担ぐ。
ハリーは抵抗することなく、大人しく担がれてくれた。
戻っていく道すがら、ハリーはいつの間にか寝息を立てていた。
おつかれさん・・・
あれから3日。
ハリーはあれから昏々と眠り続け、ダンブルドアの話では今日ぐらいに目を覚ますはずだ。
俺、ハーマイオニー、ロン、ドラコはそれを聞いて、真っ先に医務室へ行くと、そこには目覚めたハリーがいた。
「ハリー!」
「目が覚めたのね!」
「心配掛けさせるな!」
ロン、ハーマイオニー、ドラコの順に声を掛ける。
「おかえり、ハリー。」
「ただいま、みんな。」
ハリーはそう言って、嬉しそうに笑った。
へへへ・・・ん?なんか気配が・・・
「再会はすんだかの?」
「のわー!!あんたは幽霊か!?」
いきなり現れんなよ、ダンブルドア!!
「ホ、ホ、ホ。なーに、おぬしに報酬を渡そうと思っての。約束の石じゃ。」
そう言って、ダンブルドアは賢者の石を俺に渡し、俺はそれを懐にしまった。
「「「「賢者の石!!?」」」」
4人の驚愕に満ちた声が上がる。
「へ?あぁ、言わなかったか?トラップを仕掛けるときに、貰う約束してたんだよ。」
「「「「聞いてない!!」」」」
たは~、言い忘れてたか。
「あ!そういえば、あの人って誰だったの?」
ハリーに言われ、俺はそれが誰を指しているのか解り、ブレスレットに呼びかけた。
「俺が言うより、本人に聞いたほうがいいな。りどるん出れるか?」
俺の呼びかけに、リドルはあっさりと実体化して見せた。
『平気だ。魔力も回復したし。』
「りどるん!?」
ハーマイオニーが驚いた顔で、リドルを見る。
そういや、ハーマイオニーはリドルと面識があったな。
「ハーマイオニー、知ってるの?」
「う、うん。ホグワーツ特急で会ったことがあるの。」
リドルはにっこり笑う。
『僕の名前はトム・マールヴォロ・リドル。クィレルが言ったように、ヴォルデモート―――』
ザッ
ヴォルデモートの名前聞いただけで、そんなに警戒しまくんな。・・・無理か。
『・・・の記憶さ。』
「こらこら、いたいけな1年生をからかうな。」
「え・・・え?じょ、冗談なの!?」
ロンが慌てて聞く。
『いや、本当さ。しかし、本体に50年前に捨てられたようなもんだしね。』
「捨てられた?」
『そう。僕はある目的のために作れらたらしいけど、当時の部下が媒介であるブレスレットを失くしてしまってね。けど、おかげで世界のいろいろなものが見えたよ。マグルや魔法使いに所有されながらね。見事に世界観が変わった。まだマグルも・・・世界も捨てたものじゃない。こんなにも醜いけれど美しい世界を、闇に染めるなんて愚かだって・・・そんな時に会ったのがジェームズだった。』
「父さん?」
『あぁ、彼とはホグワーツに入学する前に会ったんだ。僕は骨董品屋に売られてて、偶然買われてね。ジェームズやその仲間・・・名前を言っても解らないだろうから省けど、リリーやその友達は、僕がヴォルデモート卿の記憶だっていっても、僕は僕だと・・・友人だと認めてくれた。それで僕はジェームズと約10年は一緒にいたんだ。ハリーが生まれてきた時のことも、よーく覚えているよ。』
そう言って笑ったリドルの顔は、昔を懐かしんでいるのと同時にひどく悲しいものに見えた。
『僕がハリーの名付け親になりたかったのに、あのバカ犬に先を越されたんだよな・・・』
ボソリと呟いた言葉に俺はぎょっとした。
バカ犬・・・シリウス・ブラックのことか?
『だけど、そんな幸せも壊れた。君たちも知っているように、ヴォルデモートがジェームズとリリーを・・・!!当時はこんなにもはっきり実体化できなかった僕は盾にもなれなかった。』
その言葉は言い訳なんかじゃなく、俺にはリドルが自分を責めているように聞こえた。
『それからダンブルドアに頼んで、本体であるブレスレットをノクターン横丁に売ってもらった。魔力を貯めて、何時の日かヴォルデモートに復讐するために・・・それから11年経って、僕はリオンに買われたんだ。』
そこで言葉を切り、リドルはハリーを抱きしめた。
まるで、親が子にするように・・・
『ハリー、あまり無茶をしないでくれ。君にはたくさんの友人がいるのだから、その人たちを悲しませないでくれ。』
リドルはそう言って、ブレスレットの中に戻っていった。
それにしても、リドルって案外親バカなんだ・・・意外な一面を発見!!
それなら・・・
俺はブレスレットをはずすと、ハリーに差し出す。
「ハリーが持っておくかい?」
俺の申し出に、ハリーは首を横に振った。
「それはリオンが持っていて。僕が持っていたら、頼りっぱなしになりそうだから。」
ハリーの瞳には迷いなんかなかった。
強い瞳だ。これなら大丈夫だな。
「そっか、わかったよ。」
『僕としては頼ってくれたほうが・・・』
「うっせー親バカ。」
俺の一言にみんな笑った。
キングスクロス駅9と4分の3番線。
「ところで、聞きそびれてたんだけど・・・」
ロンがいやに神妙な顔で切り出してきた。
「賢者の石。何に使うの?」
「「「『あ』」」」
いや、いまさら?
「ん~?実験。」
「実験ってなんの?」
「ちょいと難しいもん。魔力が半端なく必要だから、石をサポートに使おうと思ってね。」
(((((何の実験か聞かないほうがいいかも)))))
「そいつが賢明だな。」
俺がニヤリ笑うと、みんな固まった。
俺、なんか変なこと言ったか?
俺は一度、空を大きく見上げた。
今日もいい天気だ。
『・・・契約・・・呪い・・・』
「え?」
俺の耳にノイズのような声が一瞬だけ聞こえた。
気のせいか?
「リオン!早く行こう!!」
「ああ、わかった!」
俺はあの声を気のせいにして、みんなの行くところへ歩いていった。
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