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クリスマスから数日後。

ハリーがなんかやつれてきた気がする。

「みぞの・・・鏡かな?」
 


死神からの招待状~1st Stage~
『一時退場』








俺は自室で寝転びながら、天蓋を見つめる。

ハリーには、両親がいない。けれどみんながいるから、鏡の虜にされない。と思っていても、所詮それは希望的な観測でしかない。ダンブルドアが諭すと知っていても、心配なものは心配だ。

俺はそうと決まれば、起き上がって身支度を整える。

フラッフィーの遭遇以来、夜の城を歩くのは久しぶりだ。

「バニシュ」

俺は透明呪文(?)を唱えて自分の姿を消す。

夜に徘徊するなら、こういう呪文は便利だ。

俺はそっと、寮から出る。

廊下にあるロウソクの炎だけが、廊下を照らす。

あぁ、なんだろう。この高揚感。

夜の闇の間を進むたびに自分が、闇と一体化するような・・・自分が自分ではなくなってしまうようなこの昂りは。

俺は必死に、自分を保ちながら歩いていく。

いけねぇ、なんか俺変だ。

やがて、俺はみぞの鏡がある部屋の前に着く。

俺は扉をそっと開けて覗くと、そこにはハリーとダンブルドアの姿があった。

どうやら、一足遅かったみてぇだ。

もう、ハリーはダンブルドアに諭された後のようだし。帰ろ。

「寮に戻りなさい。リオンも!」

ギクッ

俺は踵を返した状態のまま固まってしまった。

「リオン!?リオンがどこに・・・」

あちゃ~、ダンブルドアには、ばれちまったか。

俺は観念して、部屋に入って魔法を解く。

ハリーは、いきなり現れた俺にかなり驚いてっけど、無視して声を掛ける。

「よ!もう大丈夫だな?」

ハリーは混乱しながらも頷く。

「ダンブルドア先生とリオンには、なにが見えるんですか?」

そう聞かれて、俺は初めて鏡に眼を向けた。

昼間にこの部屋を調査したときは、鏡を見なかったからな。なにが映るのか、少しわくわくするな。

「わしはウールの靴下を持っておる。わしにプレゼントしてくれる者たちは、みな本ばかりを贈りたがるんだがのう。今年は初めて、リオンが靴下と指環をプレゼントしてくれたんじゃ。」

俺はそう言ったダンブルドアの表情に驚いた。

多分・・・ダンブルドアは嘘をついている。

ダンブルドアの言葉が真実なら、あんな悲しみに満ちた表情はしないはずだ・・・

「リオン?」

ハリーに声を掛けられ、俺ははっとして鏡を覗き込む。

そこに映ったのは・・・

「俺に見えるのは、今よりデカイ俺がいて、ハリーがいて、ロンがいて、ハー子がいて、ドラコがいて、ダンブルドアや他の先生たちがいて・・・みんな笑っている。楽しそうに、幸せそうに・・・」

俺はそれだけをハリーに言った。

本当は、リドルや・・・会ったこと無いけど、多分、ジェームズさんとリリーさん。シリウスさん、リーマスさんも一緒に映っている。

これは、俺が望む、みんなが一緒にいる幸せな未来。

だけど、そこに俺の姿は無い。

なぜ、俺が映らないのかは、分からない。

これに映るハリーたちが、20歳すぎに見えるから、俺はそれまでの間に死んでたりな。

ハッ!この世界でも早死にはごめんだぜ。

ハリーは黙ったままの俺に、何を考えたのか少しうつむく。

「ほら、とっとと寮に戻りな。俺はまだ、ダンブルドア先生に話があるから。」

俺がそう言うとハリーは顔を上げた。

「わかった。おやすみ。」

「おう、おやすみ。」

ハリーが部屋を完全に去っていってから、俺はダンブルドアに向き合う。

「それで・・・こいつを最後の守りに使うんですか?」

俺の問いにダンブルドアはこっくりと頷く。

「そうじゃ、これから設置する。前にも言ったように、手伝ってもらえるかのう?」

俺はその言葉に微笑を浮かべて、答えた。

「・・・そいつが交換条件だったんだ。約束は守るぜ、俺は。」

狡猾なスリザリンでもな。









「これでよい・・・次はリオンじゃ。」

あれから、鏡を隠し扉に持っていくと、最初にダンブルドアが魔法を掛けた・・・って!

「俺が最後の守りかよ!?」

「そうじゃよ。」

俺の憤りにダンブルドアは飄々と返す。

このクソジジィ~、こうなったら最悪な罠を張ってやる!!

俺はそう決めると、着々と作業を進めていく。

「え~っと、あ~して、こうして・・・ここはこうやって・・・」

ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ

ふふふふふ・・・覚悟しろよ。クィレル&ヴォルさんよ。俺のストレスのはけ口になってもらうぜ・・・

俺の鼻歌まじりの作業に、ダンブルドアが半ば恐怖を感じていることに、俺は気づくこと無かった。

「あんな凶悪なのはみたことない・・・」








新年も明けて、帰ってきたハーマイオニーは、ハリーがみぞの鏡の虜になりかけたことに怒り、また呆れていた。

そんで、フラメルのことは結局わかんなかったから、俺が教えることになった。

なんせ、ドラコがネビルに呪いを掛けらて、それでハリーが励ましてカードを貰うはずだったんだからな。

そんで今日はクィディッチの試合v

前は見れなかったから今日こそは!!・・・と、意気こんでいたんだが・・・なんで・・・

クィレルの手伝いしなきゃなんねーだよ!!!?

ふふふふふ・・・競技場に行こうとしたら、呼び止められたのが運のつき。

俺は現在、大人が2~3人でやっと運べるような、DADAの授業で使うかどうか解んない変てこな箱を禁じられた森に運んでいます。

もちろん、クィレルも一緒っす(怒)

「ここでいいんですか?」

森に入って5分ほど進んでから、俺は一応そう聞く。

一応、本性を見せてもらっていないからな。用心用心。

「お、おおおお疲れです。みみみみミスター神楽。」

わ・・・わざとらしい・・・まだ根に持ってんのか?俺がハロウィン以来、何回も何回も、クィレルの上に落ちたり(きっちり踏み潰した)、水ぶっ掛けたり(毎回クリティカル)、落とし穴に落としたり(なんであんなに分かりやすいのに引っかかるかな?)etcetc・・・水に流そうぜ?

他愛も無いガキの悪戯だぜ?

「それじゃ、俺は失礼しま・・・!!?」

キィンッ

俺は踵を返して帰ろうとしたら、この当たり一帯の空気が変わった。

魔力!?ちっこんなに早くヴォルデモートがちょっかいをかけてくるとは・・・

「なんのつもりですか、クィレル先生?こんな結界を張って・・・」

こりゃ、俺も使っている上級結界だな。

魔法省に感ずかれないためのもの・・・

『どうするんだ、リオン?』

リドルが心配気に言ってくる。

そうだな~、折角こんな結界まで張ってくれているんだ。思いっきし、いじめてやる☆

俺はそう内心呟いて、ゆっくりクィレルの方を向く。

「ミスター神楽。聡いあなたなら何か勘付いているでしょう。我々の仲間になりませんか?『死神との契約者』である、あなたの力をわざわざ老いぼれの下で使うのは、あまりにも惜しい。」

そう言ったクィレルの瞳には、俺が断るわけが無い。と、完全に思っていた。

しかし、まぁ・・・どもっていないクィレル・・・激しく妙だ!

俺は少し考えるそぶりをして、まっすぐクィレルのほうを見る。

「そうですね。俺、結構闇って好きですよ。でも、光も好きなんですよ。光と闇は表裏一体。昼だけではダメ。夜だけではダメ。それがわからない輩には、付き合いたくありません。それに、あなた方の仲間になることは、俺の目的に反します。『死食人』は諦めてください。」

つーより、あんたらに仲間意識があるのか、俺はものすごく聞きたい。

俺がはっきり言うと、クィレルの瞳が剣呑な色を見せる。

「そうですか、それは残念です。しかし、すぐに考えも変わりますよ。クルーシオ!」

げ!?いきなりかよ!?

「マホカンタ!」

俺が反射魔法を唱えると呪文は見事に跳ね返り、まさか、反射するとは露とも思っていなかったクィレルに命中した。

「ぐわぁー!!」

おーおー、苦しそうだな。でも、ここで発狂されたら困る。

「フィニート・インカンターテム」

俺はクィレルの魔法を解除してやると、奴は俺を睨みつけてくる。

「どうやら、貴様を侮りすぎたようだな。私では手がだせんのは認めよう。けれど、ご主人様が復活したら貴様も終わりだ!?」

そんな台詞を吐く三流悪役の末路をわかってんのか?こいつは。

クィレルは結界を解除して、トンズラをしようとしたが、逃すか!!

キィンッ

「この結界は!?」

「クスクス・・・なにを驚いているんですか、クィレル先生?さっきまであなたが使っていた結界じゃありませんか。もっとも、俺以外には解除できませんがね。」

うわ~、俺今、絶対恐ろしい顔してるよ。クィレルの奴凍りついてるし・・・

まぁ、いいか。

「とにかく、俺ってば今、すんごーく不機嫌なんすよ・・・この間といい、今日といいクィディッチの試合を見逃すわ!じーさんには交換条件とはいえ、こき使われるわ!!・・・というわけで、八つ当たりさせていただきますv」

「へ?」

そっから先は阿鼻叫喚。

徹底的にいじめた俺は、気絶したクィレルに忘却呪文と回復呪文を掛けて、その辺に捨てた。

「あ~、すっきりしたv」

『君って奴は・・・(本体に少し同情するよ)』

ん?なんか言った?









「え~っと、これってどういう状況なんだろう・・・」

今は夜。何の因果か、ハグリットのドラゴン・ノーバートをロンの兄貴チャーリーに預けたまでは良かったんだが、そこでハリーたちが先生たちに見つかって150点減点。一緒にいたドラコも50点減点。

そんで処罰として、禁じられた森に行かされるんだが・・・その時、いなかった俺がなーんで箒に乗って、ハリーたちの護衛をせにゃならんのだ。

しかも、見つからないようにって・・・

『クィレルをボコったのがバレたんだがら、仕方ないだろ?』

「だー!なんでバレたんだ!?俺の忘却呪文は完璧だったのに・・・」

あのじぃさん、千里眼の持ち主か?・・・侮れん。

俺は厨房で失敬した夜食のりんごを食いながら、ドラコとネビルとファングのチームを見る。

今のドラコならネビルを驚かすことはないだろうな。ハリーたちのほうへ行くか・・・

俺は方向転換しようとした時、うっかりりんごを落としてしまった。

次の瞬間・・・

ドパーン!×5

「ふぎゃー!!」

色々な信号弾のようなものが打ち上がってきて、俺は急いで上空に避難した。

「あ・・・あぶね~」

『あれには、僕も驚いたよ。』

そっからは本のとおり、ハリーとドラコとファングのチームの出来上がり♪

これって、俺のせいなのか?

なんにせよ、俺はハリーたちの後をゆっくり上空から追っていく。

しばらくしてヴォルデモートと遭遇!

確か近くにケンタウロスのフィレンツェが・・・いない!?

俺は辺りを見回して、絶句した。

こんなところにも、イレギュラー発生か!!

「しゃーない、ヴォルデモートに灸を据える意味でも・・・来たれ聖なる雷!ライディン!!」

ズガーン!

俺が放った雷は、ハリーとヴォルデモートの間に落としてやる。

さらに俺は、続けざまに魔法を使う。

「サンダー、ブリザー、バギ、グラビデ、ホーリー!」

全てヴォルデモート狙い。火事になるから、一応火炎系呪文は使わなかった。

さすがにヴォルデモートも耐え切れなくなったのか、逃げていった。

そこでやっと、フィレンツェ登場!遅い・・・

「もうちょっと、ヴォルデモートで遊びたかったけど、これで俺の処罰も終わった終わった!」

さー寝よ寝よ。

俺は意気揚々と引き上げていった。

しかし、気づけなかった。背後から近づいてくる奴に・・・

『リオン!!』

リドルの声も間に合わず、俺の口と鼻に押し当てられる布と薬品の匂い。

やばい!薬の抵抗力を訓練してなか・・・た・・・

俺の意識はそこで深く、落ちていった。

 

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