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2002年の『選ばれし子供たち』の戦いから20数年。
世界がデジタルワールドを認知して長い年月が経った。
パートナーデジモンを持つ人間が増えてきて、現実世界とデジタルワールドはともに共存している。
かつての選ばれし子供も大人になり、愛する者たちと幸せに暮らしている。
その中には、種族の差も乗り越えて結ばれた者たちが存在する。
Digimon Arcadia~序章・アドベンチャー~
とあるマンションの屋上。
そこでは2人の子供が一緒に遊んでいた。
一人は青い髪に赤い目の10歳くらいの少女。
もう一人は紫の髪に琥珀の瞳の8歳くらいの少年。
二人とも一見普通の子供に見えるが、この子たちには普通の人間とは違うものがあった。
少女のほうには髪と同じ色の長い尻尾と獣の耳が生えており、少年のほうには鷹のような翼が背中にあった。
この子達は普通の人間ではない。
人間とデジモンの2つの血を引く新たな種族。
俗にデジモンハーフと呼ばれる子供たちだ。
「タカシ!はやくこっち来なさいよ!!」
少女の名前は石田 アミ。
1999年の選ばれし子供たちの一人石田 ヤマトとそのパートナー・ガブモンの一人娘。
「待ってくれ、アミさん。まだこのデータが整理できていないんだ。」
少年の名前は井ノ上 鷹史。
2002年の選ばれし子供たちの一人井ノ上 京とそのパートナー・ホークモンの長男。
タカシはそう言いながらノートパソコンを弄りながら、なにかのデータを整理している。
それをアミは後ろから覗き込む。
「なにやってるのよ?」
「いや、過去の戦いのデータを整理してたんだ。父さんと母さんたちの戦いを・・・」
タカシはそう言って、手を止めずにノートパソコンのキーを叩く。
「それって・・・『選ばれし子供たち』の戦いでしょ?それならわざわざ自分でやらなくても、お父さんやお母さんに聞けばいいじゃない。」
アミは心底わからないといった感じに首を傾げるが、それでもタカシは手を止めることはない。
「確かに、1999年の頃の戦いならそれでいいけど・・・僕はそれ以前の戦いが知りたいんだ。」
「それ以前?」
「ああ、世間ではアミさんのご両親とその仲間たちが『初代選ばれし子供たち』とされているが、ゲンナイさんの話ではそれ以前の『選ばれし子供たち』が存在するみたいなんだ。」
タカシの言葉にアミは驚きを隠せなかった。
「マジ!?うわーどんな人たちなのかな?」
アミは興味津々な顔でタカシに問うが、タカシは難しい顔でパソコンの画面を睨む。
「わからない。ゲンナイさんに聞いてもデジタルワールドじゃぁ、もう何万年も前のことになるし記録も残されていない。だから、僕は余計知りたいんだ。」
タカシは悔しそうに画面を睨むが、アミはタカシのその様子に半ば呆れたような顔をする。
「あんた・・・本当に『知りたがり』ね。」
「そうかもしれないな。だけど、これが僕だ。」
「・・・そうよね。あーあ!私も初代の選ばれし子供たちのこと知りたくなっちゃった!」
アミはわざとらしくそう肩をすくめると、タカシの隣に座ってデータを見ていく。
「あ!これって歴代のデジヴァイスよね?」
アミは画面に表示されてるデジヴァイスを見て、そう言った。
「ああ、今のところ3種類確認されているが、初代のはまた違った形なのか?」
タカシはそう言って、また思考の渦に沈んでいくがそれは長く続くことは無かった。
ノートパソコンから突如として光があふれ出し、2つのなにかが飛び出してきた。
「な・・・なに!?」
それは2人の頭上を旋回すると、最終的にアミとタカシの手にそれぞれ収まった。
「これは・・・」
「なんなのよ・・・これ・・・」
それは1枚のカード。
大きさはカードゲームに使用されものと同じくらいだが、アクリルとも違う不思議な透明感を持ったもので、角度によってさまざまな虹彩が見える。
しかし、そのカードにはなにも書かれていない。
アミとタカシはまじまじとそのカードを見る。
「タカシ、これってなんだと思う?」
「わからない・・・」
それからしばらく、そのカードについて2人があれこれ検討していると、空にオーロラが現れた。
日本・・・それも東京では絶対に見られるはずの無いオーロラが。
「なに!?なんなのよ、これ!!」
「興味深い現象だな・・・」
アミは半ばパニックになり、タカシは興味深そうにその光景に目を奪われる。
そして、2人の持つカードがなにかに反応するかのように輝きだした。
「きゃ!」
「うわ!」
その輝きはどんどん大きくなり、いつしか視界いっぱいに広がっていく。
光は徐々に収まっていく。
そして光が完全に消えたときには、アミとタカシの姿はどこにもなかった。
この世界のどこにも・・・