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女性向け表現ですので注意!
レス返し
>えもしをさま
ありがとうございます。
今はちょっとスランプ気味ですが、書き上げるつもりですのでどうか気長にお待ちください。
とりあえず、ホープは頑張って魔女を引き込んでもらいましょう!
俺が20歳のとき、それは現れた。
銀色の鏡……召喚のゲートが現れたんだ。
今まで恋い焦がれていたご主人についに会える。
どんな人なんだろう、俺を必要としてくれるかな?
そんな期待を胸に秘めて、俺はゲートをくぐる。
以前、女神に皮肉で与えられた『寂しがりの悪魔』の道化師の衣装を身に着けて俺はゲートをくぐった。
さぁ、ご主人様に会いに行こう。
「あなたが俺のご主人様?」
そこにいたのは道化師だった。
暗い赤色を基調とした道化師の衣装に左目の下に涙型の入れ墨が彫られている若い男。
整った顔立ちに浮かぶ笑みに騙されそうになるが、この道化師の目はそれを裏切る虚ろが浮かんでいた。
それがこの道化師を召喚した男の最初の感想だった。
「あなたが俺をこの場所に召喚したお方ですか?」
道化師はもう一度聞いてきた。
男はそれに肯定すると、道化師は笑った。
さきほどまでに浮かべていた虚ろな笑顔なんかではなく、歓喜。
恋い焦がれるような強い眼差しと蕩けた表情で笑ったのだ。
「ああ、ああ!あなたが、あなたが、あなたが俺を必要としてくれたご主人様!ようやくようやく会えた。どんなに待ったことだろう。あなたに呼ばれるこの日をどんなに焦がれたことだろう!」
狂気。
それしか言えないような形相だった。
だが、男はそれに引くようなそぶりを見せず、その道化師の様子に笑みを浮かべた。
自分とは違う狂気をもった道化師を男は急速に気に入り始めた。
この狂気の道化師は自分を裏切らない。
なぜか男はその確信を持った。
「おまえは俺を裏切らないか?」
「愚問です。あなたが俺を必要としてくれるかぎり、この身も心もご主人様のお好きお使いください。ご主人様が俺をいらないというなら、すぐにこの命を散らしましょう。やっと出会えたあなたに必要とされない以上、俺に生きる意味はありません。」
本当に、心からそう望んでいるのが男にはわかった。
本当にこの道化師は男にその命を簡単に捧げるつもりなのだ。
男は壮絶な笑みを浮かべて杖を握りしめた。
道化師は男がなにをするのか理解したのか、その場に膝をついて顔を上げた。
男は……ジョゼフは杖を道化師の額に当て、詠唱をつむぐ。
「我が名はジョゼフ・ド・ガリア。5つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
その後に訪れる接触に道化師は嫌悪感を見せずに素直に受けた。
ジョゼフも特に躊躇することもなく口づける。
唇が離れた時に道化師の額にルーンが刻まれる。
本当なら相当な痛みを持って刻まれるはずなのに、道化師は顔色一つ変えず……否、その痛みすらジョゼフに与えられたものだからなのか、うっとりとした顔で享受している。
ジョゼフもその道化師の様子を笑顔で受け入れる。
「これでおまえは俺のものだ。シャルルでも国でもなく、俺だけの……モノだ。名は?」
問われて道化師はうっそりと笑って名乗った。
前の世界では誰にも名乗らず、誰にも呼ばれなかった名前を。
「ライナと申します。ライナ・エリス・リード。寂しがりの悪魔の名前を受け継ぐバケモノでございます、ご主人様」
そう名乗ったライナの瞳は七色に明滅する涙型の文様が浮かんでいた。
こうして二人は出会った。
主となった男は自分だけにすべてを捧げる存在を手に入れ、使い魔となった道化師は神々のゲームなど関係なく自らを必要としてくれる存在を手に入れた。
この二人がつむぐ物語は奈落よりもなお深いくらいくらい闇の色。