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フィニッシュ!


わたし鹿目まどか、中学2年生。
特に何かしらの特技なんかがあるわけじゃないごく普通の女の子。
優しい両親に、大切な友達。そんな人たちに囲まれている私。
そんなわたしに変化が起きた。

黒髪美少女の暁美ほむらちゃん。
彼女が転校してきたことが始まりだったかもしれない。

「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」

突然問われたことにわたしはうんって答えたけど、よくわからなかった。

「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

わたしはもっと違う自分になりたいと思う私の心を見透かされたようだった。

「さもなければ、全てを失うことになる」

こんな誰にも感謝も役にも立てないわたしは変わっちゃダメなの?

 

 

 

 

 

 

 

そうやって放課後にいきなり頭に響いた自分を呼んでいる声。
それに従ってその場所に行くと、白いぬいぐるみのような傷ついた動物と、見たことのない服と盾を持ったほむらちゃんがいた。
ほむらちゃんはわたしにその動物を渡すように言うけど、わたしには助けを求めてきたその子を渡すことが出来なかった。
その場はさやかちゃんの機転で逃げられたけど、すぐに別のもの……後から聞いた魔女の結界に迷い込んでしまった。
そこであったのはとっても素敵で、かっこいい魔法少女でした。

そしてわたしたちはキュウべぇに魔法少女になってほしいと言われたけど、望みをかなえる代わりに魔女と戦うのはちょっと怖い。
マミさんに助けられた時もすごく怖かった。
わたしとさやかちゃんが悩んでいるのをマミさんは察して魔女退治の見学をしないかって。
わたしたちは恐る恐るだけど受け入れた。
魔法少女に対する憧れと好奇心とすこしの恐怖で。

「それじゃ第1回魔女退治見学ツアーに行きましょう。」

次の日の放課後。
わたしは仁美ちゃんや紅ちゃんと別れてさやかちゃんと一緒にマミさんと喫茶店で話し合っていた。
さやかちゃんはやる気十分で金属バットなんか持ってきてたけど、ここで広げるのは恥ずかしいよ!
わたしもコスチュームだけは考えてきたけど、マミさんもさやかちゃんも笑うなんてひどいよ。

そうやって私たちのツアーは始まった。
マミのソウルジェムを頼りに、町を歩きながら魔女の魔力を探すんだけど結構大変なんだ。
そうやっているとマミさんのソウルジェムが点滅し始めた。
近くに魔女がいるんだ。

「こっちね。二人とも気を付けて」

マミさんに言われて人気のない公園に入っていった。
本当に誰もいなくて、噴水の水音だけがなんだが不気味に感じてしまう。
噴水の前には紅い月と太陽のような紋章があった。

「これが魔女の結界の入り口よ。ここから魔女の迷路を抜けて魔女を探すの。いくわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 


そうやってわたしたちは結界を通り過ぎたのだけど……
なんでメルヘンな王国!?
昨日の魔女の結界とは似ても似つかないどころか、雰囲気も違いすぎるよ!?
しかもすっごい穏やかだけど明るいBGMまで流れてる!?
わたしとさやかちゃんは本当にここが魔女の結界なのか疑っていると、マミさんはずんずんと一人でライフル片手に王国に向かっていく。
わたしもさやかちゃんも置いて行かれたくないから急いで後を追いかけるけど、ここって迷路ってわけじゃないいよね?
それに……

「おーほほほほ!我が宿敵、ホープディス!今度こそ観念しなさーい!!」

「いやだって言ってるでしょ!?いい加減に他の魔女を狩りに行けーー!!」

「私が狩りに言ってもあなたが最後の最後で妨害するでしょーがぁ!!」

「私には私のやりたいことがあるのよ!」

「おまちなさーい!!!」

「くるなーーーーー!!!」

なんだか聞き覚えがあるような無いような声で逃げ回る白いローブの魔女さん?と、それをノリノリで追いかけまわすマミさんにわたしたちは言葉を失ってしまった。
魔女退治にそれなりに覚悟を決めていたわたしたちだったけど、なんでこんなコミカルな追いかけっこが展開されているのかな?
いつの間にか私たちは二本足で歩くネコさんとウサギさんに案内されて、お城のバルコニーから二人の追いかけっこを見ている。
しかもすごく美味しい紅茶とお菓子までついてなんだかお茶会みたいだ。
結界の中に入った時に聞こえていた穏やかだけど明るいBGMも、二人が追いかけっこを始めた時にはコミカルなゲームで使うような戦闘の曲に変わってるし……
それにしてもマミさんと魔女さんの様子ってまるで……

「ト○と○ェリー……」

「ああ……まさにそれだ。仲良く喧嘩してるよ。」

まさしくしっくりくる。
心なしかマミさんが楽しそうに見えて、わたしもなんだか笑ってしまう。
それからわたしたちは二人が気が済むまでお茶会を楽しむことにしました。
こんなのだったら魔法少女になるのもアリかな?

 

 

 

 

 

 

 

アレが例外中の例外だとすぐに思い知らされました。
わたしたちはマミさんがほ、ホー、プ、ディス?という魔女さんを退治できなくて別の魔女さんを退治することになった。
マミさんが後輩にかっこ悪いところばかり見せられないから張り切っているんだってキュウべぇは言っているけど、あの魔女さんとの追いかけっこは見ていて楽しかったのにな。
ちょうど?病院で孵化したグリーフシードを見つけて、結界に入るとさっきまでのメルヘンな結界とはぜんぜん別のすごく不気味で怖い結界だった。
巨大なお菓子に、病院で使われるような薬瓶に巨大な注射器。
至る所に目玉の様なネズミのような不気味な使い魔が徘徊している。
マミさんはそんな使い魔たちをライフルで撃ちぬいていく。
さっきまでの白い魔女さんとの追いかけっこなんかとは違う。
簡単そうに見えて本当に命を懸けている戦い。
マミさんは白い魔女さんとの戦いは本当にじゃれていただけなんだと思い知らされる。
そのギャップがなんだか怖い。
そうやってわたしたちは結界の最奥に到着した。

そこにいたのは小さな人形のような魔女。
マミさんはその魔女を見ると同時にいきなり撃ちぬいた。
その追撃にライフルを振りかぶって殴り飛ばして、また撃ちぬいて、魔法で縛り上げた。
本当に早くて流れるような動き方。

「これで終わりよ。ティロ・フィナーレ!」

大砲の様な大きな銃でそれを撃ちぬくと爆炎が出来て、わたしたちはマミさんが勝った!と思った。
けど、その魔女の口から大きくて長いのが出てきて、すごい速さでマミさんを狙う。
わたしたちは思わず幻視してしまった。
そのままマミさんの頭が食べられてしまうのを……

 

 

 

 

 

 

「甘い!!」

バコーーーン!!

「「へ?」」

思わずわたしたちは変な声が出てきてしまった。
食べられてしまうと思ったマミさんがその長い……恵方巻き?をライフルでフルスイングで殴り飛ばしてしまった。
そのまま恵方巻き?は弾き飛ばされて壁に激突する。

「悪いけど、その程度で私を殺すなんて百年早いわよ!!」

それからはマミさんの猛攻がすごかった。
ライフルで魔女を滅多打ちにして、巨大なライフルで撃って、また滅多打ち……
なんだろう……魔女のほうが哀れになってきちゃった。

「ホープディスを撃ち損ねたストレス、あなたで晴らさせてもらうわ!ティロ・フィナーレ!!」

ドカーーン!!

マミさんはそうして魔女に止めをさした、ていうか。

「「やつあたりーーー!!?」」

わたしとさやかちゃんは思わず叫んでしまったけど、悪くないよね?
マミさんが白い魔女さんを追いかけているのはジャレているんじゃなくて、本気だったのかな?

マミさんは止めを刺したはずなのに、まだライフルを構えている。
けど、あれだけ攻撃したのにまだ生きているの?
爆炎が晴れるとわたしたちは目を見張った。
そこにいたのは、さっきまでマミさんと追いかけっこをしていた白い魔女がいたから。
ホープディスさんはあの黒い魔女の首を掴んで逃げないようにさらに口を縛っている。

「あーら、やっぱり邪魔しに現れたわね。」

「いやー、こっちもこっちの都合があるからね~この魔女は悪いけど貰っていくよ。」

ホープディスさんはマミさんに杖を向ける。
マミさんはそれに抵抗なんてしない。
まるで自分に危害を加えないことを確信しているかのように。
そうしてマミさんのソウルジェムから黒いなにかが出てきて、それがホープディスさんの手の中で結晶になった。

「それじゃ、私はこの辺でお暇させてもらうわ。それじゃ今度はゆっくりお茶会でもしましょう。」

そう言ってホープディスさんは消えて、わたしたちは結界からいつの間にかはじき出されていた。

「ホ~プ~ディ~ス~……次は勝たせてもらうわよーーーー!!!」

こうやって私の最初の魔女退治ツアーは終わった。
マミさん、ちょっと怖かったよ。

 

 

 

 

 

その頃、まどかたちを物陰から見ていたほむらは生き残ったマミとホープディスに驚いていた。

「マミが生き残るなんて……私が介入しなかった場合ほぼ100%死んでいたのに、それにあの魔女……」

このことがこれからのことにどれほどの影響を及ぼすかは、ほむらは予測がつかなかった。

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