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俺が軍の狗になって3年の月日が流れた。
いまだ俺とアルフォンスは元の身体に戻ってはいない。
マスターも、まだクレア・バイブルを見つけていないとこないだこぼしていたな。
それと同時にマスターが各地で起こした騒ぎも聞いている。
・・・俺たちより派手にやってるから、どこに行っても聞こえて来るんだよな。
話がずれた・・・今現在、俺たちは昇進したマスタング大佐からの情報で、東方の辺境砂漠の街・リオールに向かっている。
錬金術師は魔法使い!?
『One Who Challenges the Sun』
俺とアルフォンスは、リオールの街にいる。
街の様子は豊かで、それなりに活気がある。
にしても、ワインで噴水を作るなんて贅沢もいいとこだ。
「ずいぶん豊かなんだな、リオールの街は。」
俺とアルフォンスは、街の広場のフードスタンドで店主と話していた。
俺はジュースを飲みながら、そう言うと店主は笑って頷いて、なにかに気づいたようにラジオのスイッチをONにした。
『祈り信じよ、されば救われん。―――」
それと同時に厳かな音と一緒に流れる放送。
まわりを見れば、そこかしこでラジオを聴いて祈りを捧げている人たちがいる。
「なんだこりゃ?」
「ラジオで宗教放送?」
俺とアルフォンスがそう言うと、店主はむっとした顔になった。
「俺からすれば、あんらのほうが『なんだこりゃ?』なんだがね?」
あ、やっぱり少し怒ってるか。
「・・・あんたら、大道芸人かなんかか?」
ぶばぁ!!
俺は店主のその言葉に思わずジュースを噴出してしまった。
いくらなんでも、そりゃねーぞ!!
「あのなおっちゃん!俺たちのどこが!!」
「芸人じゃなけりゃ、またなんでこんなところに?」
「ちょっと探し物・・・」
大佐の情報じゃ、それらしきものがあるって話だけど・・・だー!どういったのかわかんねーから探査の魔法も使えねー!!
伝承に伝わる形状が正しいって保障もねぇし・・・地道に調べるしかねーんだよな。
「んで、この放送なに?」
「コーネロ様さ。」
俺は話題を帰るためにそう聞く。
けど、それじゃわかんねーよ。
「だれ?」
「!?太陽神レトの代理人を知らんのか!?」
「だから・・・だれ?」
そんな目を向いて驚かれても、知らんもんは知らん。
しかも神の代理人って・・・胡散臭い以外のなにものでもねーぞ。
神や魔王がいるのは知ってるけど、人間がそれを名乗るのはどうも胡散臭い。
・・・そういや、マスターはその魔王を滅ぼしてるんだった・・・
俺はそんなどうでもいいことを考えていると、まわりの客がコーネロについて話してくれる。
なんでも『奇跡の業』って奴で、滅びかけたこの街を蘇らせたらしい。
「宗教には興味ないから・・・行くか、アル。」
「あ、うん。」
俺は早いとこ賢者の石を探すために、スタンドから離れようとしたが、アルフォンスの頭がスタンドの天井に当たって、その上にあったラジオが落ちた。
うわー・・・見事に真っ二つだな。
「あー!困るなお客さん!大体そんな格好でいるから・・・」
「わりぃ、すぐに直すから。」
俺は苦笑して錬成しようとしたら、アルフォンスが代わりにやると言った。
そしてアルフォンスがチョークを取り出して、ラジオを中心に描かれる錬成陣。
書き終わって、アルフォンスが手を翳すと錬成反応が起こってラジオが元通り。
壊れる前と変らず宗教放送が流れている。
「こいつぁたまげた!あんた、奇跡の業が使えるのかい!?」
「なんだいそりゃ?」
「僕達、錬金術師なんです。」
この辺の奴は、錬金術を見たことないのか?
俺たちの言葉に俺の予想を裏付けることを言ってる。
・・・本当にいないのか。
「エルリック兄弟っていえば結構名が通っているんだけどな。」
ここじゃ、マイナーなのか?
「鋼の錬金術師エドワード・エルリック。」
そこに、スタンドの端のほうに座っていた女が突然そう言った。
「イーストシティあたりじゃ有名よ。ウワサの天才錬金術師だって。」
そう言った女の顔は、どこかで見たような紫の瞳だった。
なんか猫みてーな目だな。
俺がそんなこと思っている間に、まわりは騒ぎ出す。
・・・アルフォンスのまわりに集まって・・・
「なるほど、こんな鎧着てるから二つ名が『鋼』なのか?」
「そんなに有名なのかい、あんた?」
「あぁ、いや・・・僕じゃなくて・・・」
アルフォンスは特に明確に言う訳じゃなく、俺を示す。
「へ?あっちのちっこいの?」
ぶちっ
「だれが豆粒みたいで目に入らないってーー!!?」
「「そこまで言ってねーー!」」
背が低くて悪かったなーー!!
「今日はなんだか賑やかですね?」
俺が怒りのままに暴れていると、前髪だけピンク色の褐色の肌の女が来た。
店主との会話を聞いていると、名前はロゼみたいだ。
「こちら、旅の方」
「あ、僕アルフォンス・エルリックです。」
「俺が兄の!エドワード・エルリックだ。」
俺は『兄の』の部分に力を込めてそう名乗った。
「あら、あなたのほうがお兄さんなの?」
ぐっどいつもこいつも・・・!!
「ロゼ、この人たちをレトの教会まで案内してくれ。探し物があるらしいから、神のご加護があるようにな。」
「いいですよ。宿坊もありますし、どうぞお泊りになってください。」
店主とロゼの会話に、俺は考える。
宿坊に入り込めば、賢者の石の情報が手に入るかもしれないしな。
それに書物庫みたいなところに入れれば、なにかしらの情報はあるはずだ。
「それじゃお言葉に甘えて、お世話になります。」
俺は笑顔でそう言った。
その日の夕方。
俺は与えられた一室の窓際で、この教会の墓地を見下ろしていた。
ロゼがその墓地で、墓の前から動こうとしない。
この宗教の教主もいる。
そこに、アルフォンスが来た。
「あれ、ロゼさんの恋人のお墓なんだって。」
どっからそういうこと聞いてきたんだ。
「身寄りもなくて、恋人を失ったロゼさんはコーネロ教主の教えに縋ったんだってさ。」
宗教に縋ること自体、別にかまわない。
だけど、依存しすぎてはいけない。
俺はマスターからそう学んだ。
あくまで心の拠り所程度にしておけってな。
だけど、アルフォンスの口調に引っ掛かった。
「死んだ者が蘇るわけでもなし・・・」
「生き返るらしいよ。」
「!!」
俺はアルフォンスのほうを見る。
アルフォンスは、まだロゼたちのほうを見ている。
「『生きる者には不滅の魂を 死せる物には復活を その証が奇跡の御業』だってさ。」
俺はもう一度、ロゼたちのほうを見る。
治療系魔法のエキスパートなら、瀕死の人間も治すことが出来るけど、完全に死んだ人間は生き返らせることなんて出来ない。
これは錬金術でも同じだ。
教主の奇跡が本当でも、そうでなくても・・・
「うさんくせぇ・・・」
翌日。
俺たちは聖堂前の広場で教主の奇跡の業とやらを見に来た。
水をワインに変え、丸太をレト神の像に変える。
「どう思う?」
「どうもなにも、あの変性反応は錬金術でしょ。」
俺とアルフォンスは同じ結論に至った。
俺はもしかしたら、魔法の可能性も考えていたが、あれを見る限りそれはない。
「それにしても法則がな・・・」
俺は思考の渦に沈もうとしているところに、ロゼが俺らに気づいて話しかけてきた。
「どうです?教主さまの奇跡の業は?」
「いや、あれは錬金術だ。コーネロって奴はペテン野郎だな。」
俺の言葉にロゼはむっと怒るが、事実だ。
「でも、そうと決まったわけじゃないんだ。第一法則無視しているし・・・」
アルフォンスがロゼにフォローを入れる。
「法則?」
ロゼはわけがわからないといった顔をする。
錬金術を知らない奴なら、これが普通か。
「錬金術ってのは、無から有を生み出すわけじゃない。自然界の法則に従った科学技術なんだ。」
「・・・え・・・?」
俺はロゼの顔を見ずにそう言った。
俺から見えないけど、ロゼは意外そうな顔をしているんだろうな。
「一の質量のものからは同じく一のものしか出来ない。僕が同じ大きさのラジオしか作れなかったのと同じです。」
アルフォンスが俺の後を継いで、説明してくれる。
「巨大なラジオを作ったり、紙や木に変えることが出来ない。」
「だが、あのおっさんはそれを無視しちまってる。」
「だから奇跡なんですってば!!」
俺の言葉にロゼは怒鳴る。
その間に、コーネロは子供が差し出した死んだ小鳥を手で包んだ。
起こる雷に似た錬成反応。
コーネロが手を小鳥は生きているかのように飛び、コーネロの肩に止まった。
「錬金術で、あんな奇跡が起こせるんですか?」
ロゼは勝ち誇ったようにそう言うが、俺には解った。
あの小鳥は本当に生き返ったわけじゃない。
「兄さん・・・」
「あぁ・・・」
アルフォンスの言葉に、俺は頷く。
やっと・・・目的のものを見つけた。
その日の夕方。
俺は一人で聖堂の長いすに座って、レト神の像を見ている。
そこにロゼが来た。
ロゼは俺の姿を見て、一瞬引いたような仕草をしたが、すぐに布巾で台座を磨き始める。
「そうやって真っ正直に神に仕えてれば、いつか死んだ者も生き返るのかい?」
俺の言葉に、ロゼは一瞬身体を強張らせたけど、笑顔で振り返る。
その目は、本当にそう信じている。
いや、信じなければ立っていなられない目だ。
俺はため息を吐くと、懐から研究手帳を取り出してページを開く。
「水35リットル、炭素20キログラム、アンモニア4リットル、石灰1.5キログラム、リン800グラム、塩分250グラム、硝石100グラム、硫黄80グラム、フッ素7.5グラム、鉄5グラム、ケイ素グラム、その他少量の15の元素・・・」
俺は手帳に書かれていることを淡々と読み上げる。
ロゼは訳がわからないといった感じで、俺を見る。
「標準的な大人一人分として計算した人体の構成成分だ。」
俺はそこまで言って、手帳を閉じる。
「今の科学だとここまでわかっているのに、足りない『なにか』が何なのか、科学者は何百年も研究を続けている。ただ祈って待ち続けるより有意義な努力じゃないかな。」
ロゼは幸せになるために努力するわけでもなく、ただ他人から与えられる偽りの幸福を夢見ているだけ。
「ちなみにこの成分材料な、市場に行けば子供の小遣いで全部買えちまうぞ。人間ってのは、お安くできてんな。」
俺は昔の自分の思い出して、苦笑する。
ロゼはそれが気に入らなかったみたいだ。
「人は物じゃありません!神を冒涜するのですか!?」
険しい表情でそう怒鳴ってくるロゼ。
俺はそれを見て口元が歪む。
「別にそう言うわけじゃないさ。ただ・・・」
俺は長椅子から立ち上がると、レト神の像に近づく。
「人間は、どこまで行っても人間でしかないのさ。」
そこで俺はロゼを真っ直ぐ見る。
「人は・・・神にはなれない。」
よっぽど特殊でない限りな。
確かマスターの姉ちゃんが『赤の竜神の騎士』だっけ?
他にも、マスターの世界にはそういった竜神の力と記憶を受け継いだのがいるらしいけど、それらは例外だ!
あとは魔族と契約、勧誘を受けて魔族になった奴か?
「太陽はその恵みを地上に齎してくれるけど、近づきすぎれば燃え尽きるだけ・・・」
俺の言葉にロゼは押し黙ってしまった。
しばらく沈黙が俺たちの間を支配する。
ずがーーん!
そこに一発の銃声が聞こえてきた。
俺たちが音の発生源を見ると、扉の向こうから頭が取れ倒れこむアルフォンスと銃をこちらに向ける信者の一人。
「クレイ師兄!なにを・・・」
ロゼにクレイと呼ばれた奴は、銃を俺に向けた状態で歩み寄ってくる。
「こいつらは神の敵!すべては神のご意思です!!」
・・・こいつも、盲目的に神に依存している口だな・・・
「あーびっくりした。」
俺はとくに同様もせず、クレイを見ているとアルフォンスの身体が起き上がる。
クレイはそれに動揺して、俺からアルフォンスに銃を向ける。
チャンス!
俺はそれを見逃すことなく、足元にあったアルフォンスの頭を拾い上げるとそれを思いっきりクレイの後頭部にぶつける。
「あ、僕の頭!」
いい音を立てて、クレイは気絶した。
「ストライク!」
「きゃああああ!!」
ロゼが今頃になって悲鳴を上げた。
反応遅いって・・・
「ど、どうなってるの?首が・・・」
「どうもこうも・・・」
「こういうわけで。」
アルフォンスが鎧の中身を見せる。
なにも入っていない空洞の中身を。
「な、中身が・・・ない・・・」
ロゼはその事実にさらに怯える。
俺はその反応になにも言えない。
「これが・・・神さまの聖域とやらを侵した罰というやつさ。僕も・・・兄さんもね。」
アルフォンスが自分の頭を装着しながら、そう言った。
それは、俺の心にも重く響く言葉だ。
自分達の身勝手で、あんなことをしちまったんだからな。
「い、いやあああああ!!!!」
ロゼはとうとう耐え切れなくなったのか、悲鳴を上げながら逃げていった。
俺とアルフォンスはそれを慌てて追った。
神様の信者には、俺たちはまさに神の敵って奴か・・・
「こんなところがあるなんて聞いてないぞ。」
俺たちはロゼのあとを追って、広い部屋に出た。
窓も何もなく棺みたいなのがあるところからして、一見霊安室にも見えるけど、なんか違う・・・
その部屋の奥でロゼが俯いたまま、そこにいた。
「ロゼ!」
「よくやった、ロゼ。」
俺はロゼに走り寄ろうとしたら、別の奴がロゼに歩みよるのに気がついた。
そいつはこのレト教の教主コーネロ。
「国家錬金術師・・・いつかは来ると思ったよ。」
コーネロはそう言って、俺たちを見る。
その肩には、昼間の奇跡とやらで生き返らせたように見せかけた小鳥を乗せている。
「ペテンで信者を騙しているからか?それとも・・・賢者の石を持っているからか?」
俺はコーネロを睨みながらそう言うと、コーネロは優しそうな教主の顔を脱ぎ捨てて自分の指にある指輪を見せる。
「これのことかね?」
その指輪についているのは・・・俺たちが捜し求めていたもの・・・
「錬成陣も描かず、等価交換も無視した錬成・・・答えは一つしかない!」
「そうだ、伝説の中だけの存在といわれた幻の術法増幅器。―――賢者の石!」
ああ・・・本当に・・・どんなに焦がれたことか・・・!!
「探したぜ・・・単刀直入に言う。賢者の石を渡しな。そうすればあんたのペテンは街の奴らには黙っててやる。」
俺は捜し求めた物を目の前にした興奮を抑えつつ、そう言う。
しかし、コーネロはとくに慌てる様子はない。
「私からこれを奪うのかね?私の奇跡の御業がなくなればこの街はどうなる?なぁ、ロゼ。」
コーネロはそう言いながら、隣にいるロゼに問いかける。
ロゼは肩をぴくんと奮わせる。
やろう・・・!人の心の弱みに付け込みやがって・・・!!!
「ロゼ!そいつはただの三流ペテン師・・・」
「私は内乱で滅びかけたこの街を蘇らせた。水を生み、ワインに変え、建物を作り、人々にカネさえも与えてやった。」
俺の言葉を遮って、コーネロは話す。
「私は神の代理人だ!貴様らはこの街の人々から神を奪うつもりかね?そんなに軍の命令は絶対か?」
自分が本当に神の代理人だと言わんばかりの、恍惚とした表情で。
「軍の命令なんかどうでもいい。」
俺は"おいといて"のポーズで、そう言う。
コーネロはそれに一瞬、呆けるが俺は構わず続けた。
「俺には・・・俺たちにはそれが必要だ!」
「どうして!」
俺が宣言した直後、ロゼが今にも泣きそうな顔をして叫ぶ。
「私達から希望を奪うって解ってて・・・それでも!?」
「ロゼ、僕たちは!」
「無駄だ。」
アルフォンスがロゼに俺たちの事情を話そうとするが、俺はそれを制する。
そんなことを話したところで、事実は変わらないんだ。
「それでは賢者の石を力を見ていただこう!」
コーネロは今がチャンスだとばかりに、賢者の石を掲げると俺たちの床を砂に錬成し、それが盛り上がって俺たちを飲み込もうとしたけど、俺はそれを後ろにジャンプすることでかわした。
「うわああ!」
「アル!」
しまった、アルフォンスのあの鎧の身体じゃ簡単にかわせない!
アルフォンスは砂の下に埋もれてしまい、俺が掘り出そうとしたところコーネロは次の手とばかりになにか仕掛けを使って部屋の横にある檻のようなものを開ける。
そこから出てきたのは、ライオンとなにか爬虫類をを合わせた様な生物。
「賢者の石で、生物同士の合成した・・・」
「そうキメラだ!」
合成獣が今にも俺に襲い掛かってきそうな状況に、俺はとくに怯えも驚きもしなかった。
こんな合成獣なんかよりも、マスターに放り込まれたブリッグズ山の人食い熊の方が何倍も恐ろしいぞ。
しかし・・・
「こりゃ素手でジャレ合うのはきつそうだな、と!」
俺は手を合わせて、地面に両手を付くとそこから槍を錬成する。
「なに!?錬成陣もなしに錬成を!!?」
コーネロが驚いている。
俺はそれを気にすることなく、槍の柄を合成獣のどてっ腹に叩き込んでやる。
遠心力の応用でそれなりの威力もあるから、きついだろう?
合成獣が倒れて、コーネロは次に自分の肩に乗っている鳥を巨大な怪鳥の合成獣にして俺にけしかける。
俺はすかさず槍をかまえて、その合成獣を撃退しようとするが、その鳥合成獣は俺の槍をあっさり鉤爪で掴むと折りやがった。
その直後に、俺の『左足』を掴んできた。
「ははは!どうだ!!」
コーネロは勝ち誇った声でそういうが、運が悪かったな。
「なんてな!」
俺の言葉と共に、鳥合成獣の爪は砕けた。
鳥合成獣はそれで逃げようとしたが・・・
「逃がすかよ!」
俺は思いっきり『右手』で鳥合成獣の顔をぶん殴る!!
鳥合成獣は見事に吹っ飛んで、絶命した。
動物を殺すのは慣れた。
マスターの修行や先生の修行中に、生きるために殺してきた。
俺がそんなことを考えている間に、容赦なく最初に襲ってきたライオン合成獣が俺に飛び掛ってくる。
俺はその合成獣に『右手』を差し出す。
合成獣は俺の『右手』を食いちぎろうとするが、こんな程度の牙と爪じゃ出来るわけねぇよ。
ただコートと服がぼろぼろになるだけだ。
「どうした猫野郎?しっかり味わえよ・・・」
俺はゆっくり持ち上げる。
それとともに、合成獣の身体も持ち上がり、俺は『右手』を振り払った。
同時に、『左足』で合成獣のあごを蹴り上げる。
そのままライオン合成獣は、鳥合成獣のところまで吹っ飛んでいった。
俺はコーネロを睨みつける。
「あの爪でも切り裂けぬ足・・・あの牙でも砕けぬ腕だと・・・!まさか、きさま・・・!!」
コーネロはなにかに気づいたような顔をする。
「ああ・・・そうだ・・・」
俺はさっきのライオン合成獣にボロボロにされた部分を自分で引き千切る。
「ロゼ。よく見ておけ・・・これが人体錬成を・・・神様の領域を侵した咎人の姿だ!!!」
顕になる俺の『右手』
「機械の手足・・・機械鎧・・・!」
ロゼは怯えたような顔で、俺を見る。
「貴様・・・人体錬成を・・・最大の禁忌を犯しおったな!あちら側に・・・身体を持っていかれおった!!」
砂の下からやっと這い上がってきたアルフォンスが俺の隣に並んだ。
「それゆえにこやつの称号は『鋼』!」
鋼の錬金術師!