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一体なにがおかしかったのだろう?
自分の人生どこで間違ってしまったのだろうか?
否、どこで?じゃない、自分が生まれた瞬間から間違いだったのだ。
自分にはある秘密がある。
別段重要というわけでもない秘密だ。
両親や親戚には知っている人は多いし、親しい友人なら表だって言わないけど知っている。
学校側も知っているし、よくそれで揉め事になる。
本当に・・・なんで自分はこんな秘密を抱えなきゃならないの?
私の名前は平賀 才人。
得意なことは料理、洗濯、掃除その他の家事全般。
その他棒術をたしなんでいる。
年は17歳で、身長は172センチ。
これだけ聞けば、家事が得意な男の子を想像する人は多いと思うけど・・・
何を隠そう私は・・・女です!
世間では男と認識されている私。
なぜそう認識されているかは、単純なことだ。
ただの両親の趣味!
これの一言に尽きる。
だけど、趣味と言って侮るなかれ。
あの二人は女の子を男の子みたいに育てたいってだけで、戸籍とかその他もろもろ完璧に男にしているのよ!
自分が女だと解ったとき、戸籍まで男ということにしている両親に畏怖の感情を覚えたものだわ。
そんなこんなで、私は世間では男として通している。
見た目も男みたいで、喋り方も長年の男生活のせいか、口から出る言葉は男のそれだ。
そんな自分が嫌で、一生懸命、料理や掃除といったことを覚えた。
こんな私でも、好きな人と一緒になりたいと思う。
だからせめて花嫁修業だけは疎かにしなかった。
そのおかげで、その辺の子より家事は出来る。
他に両親に騙されて棒術もやっているわ。
これは護身程度には出来るわね。
以前これでスリや泥棒を退治したことあるけど、それのせいで学校の女の子の間には王子様扱いや騎士扱いされたわね。
あれはかなりショックだったわ。
どんどん『女の子』から遠ざかっていく感じがしてね・・・
そして今日、私はいつもの棒術の稽古から帰る途中、いきなり足元に穴が開いた。
本当に突然で、私はなす術もなく重力に従う。
「へ?き・・・きゃあああああああ!!!!!」
この時私は、生まれて初めて女の子らしい悲鳴を上げながら、その穴の中に消えていった。
「あなた、誰?」
次に私が目を開けたら、背中に大きな剣を背負った桃色かかったブロンドの女の子が私を見下ろしていた。
「え?ここ・・・どこ・・・?」
私は頭に霞が掛かったような感じがして、思考がうまく纏まらない・・・
私の頭がはっきりしない間にも、まわりが騒がしい・・・
それにまわりの人たちはみんな同じような格好している。
まるで魔法使いみたいな・・・そんな格好。
やっぱり頭がぼんやりするな・・・
その間に最初に私に声を掛けた女の子が私に近づいて来る。
「こんなのお・・・私だって理不尽なんだからね!」
その子がなにか指揮棒のようなものを取り出すと、なにか呟く。
「我が名はルーク・フランデルト・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
最初のほうは小さな声だったから聞こえなかったけど、その子が私の額に棒を当てたかと思った次の瞬間、自分の唇になにかが押し付けられた感触・・・
え・・・?・・・ちょっと待って・・・今、私・・・女の子にキスされてる・・・?
霞掛かった頭が急速に晴れていく。
「な・・・な!おまえ一体・・・!!?」
私は自分の口に手を当てて後ずさった。
そんな・・・私初めてだったのに・・・!!!
私が文句を言おうとしたら、体中が熱くなっていくのを感じた。
それが痛みに変って、私はとうとう悲鳴を上げた。
「ぐああああ!てめぇ、俺の身体になにしやがった・・・!!!」
・・・こんなときでも男言葉が出る自分が恨めしいわ。
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ。すぐ済むわ。」
桃色の女の子は何度も唇を袖で拭きながらそう言う。
同性同士なんだからノーカンよ!ノーカン!!
私が更に文句を言おうとした途端、右手が更に異常に痛みが走った。
まるで・・・なにかが刻まれているみたいな・・・
そこで私の意識が途切れた。