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ここの世界の敵対者の話を元に書いてくださいました!
ありがとうございます!
【GHOST-HUNT】 予告
始まりは一つの質問からだった。
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――質問をしよう。
明確な質問だ。
どんな愚鈍にも分かる問いかけだ。
故に悩む必要はなく、心のままに答えて欲しい。
……いいね?
君は、
いつ、
いかなる時で、
どのような行動で、
どのような思いで、
どのような言葉で、
どのように生きていると実感する?
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きっかけは一つの噂だった。
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噂があるんだ。
どんな噂だよ?
変な奴がいるんだ。
変な奴?
そう。ずっとログインしている変なPCの噂。
単なる廃人だろ? よくいるじゃねえか、親に寄生しているニートとかさ。
違うんだよ。そいつは普通じゃないんだ。そいつはずっとこの世界に居やがるんだ。
居るって……THE WORLDにか?
ああ。なんでもこの世界のことを何でも知っているっていう噂だ。
デマじゃね?
違えよ。実際に目撃証言が一杯あるんだ。そいつと会話したことがある奴もいるらしい。
へえー。ちょっち会ってみたいかも。どこに現われるんだそいつ?
月夜のある草原のエリアでうろついているらしい。けどな、会うなら気をつけたほうがいい。
気をつける?
ああ。そいつは単なるPCじゃないんだ。助言をすれば、傍観もして、時には敵対する。気まぐれな奴らしい。
それでそいつの名前は?
――闇の紫陽花 ハイドランジア
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拡張は一つの存在からだった。
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チック タック チック タック
――やめてくれ!
チック タック チック タック
やめてやめてやめて!!!
チック タック チック タック
もう嫌だ! 殺されないで殺さないで!!! ァアアア
チック タック チック タック
死なザクッ!くれよ! もうやめてくれよ!! 何が楽しいんだよ!!?
チック タック チック タック
嫌だ!! ころ ブシュッ! さないで!! しなせザシュッ! てくれ!!
チック タック チック タック
――開始時刻 AM17:46
記念に46回キルをし、1289回秒針が鳴り響いた。
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導火線は無数の思いからだった。
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ゆるさねえ!
くそったれが! ふざけやがって!!
仕返ししてやる! あの糞気取りの鎌野郎をズタズタにしてやる!!
絶対に仕留めてやるぞ! ハイドランジァ!!!
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糸口は一つの情報だった。
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「観察者?」
「そう呼ばれるPKが出たらしい」
「へえ……どんな奴?」
「さあ?」
「っておい! 話題振ってきたのはお前だろうが?!」
「ごめんごめん。でも、理由があるんだ……とっても不気味な理由がね」
「なんだよ?」
「そいつは"殺される者の前にしか現れない"、無機質にして、無骨にして、ただ殺される者の前に現れる槍使いだと」
「へぇ……そいつのPC名は?」
「"ランス" 重槍使いにはぴったり過ぎる名前だね」
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そして。
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それはただどこまでも無機質だった。
まず色がない、透明。
次に肌がない、骨格。
その次に顔がない、無貌。
その外装はワイヤーフレームと呼ばれる光の線だけで構造を構築し、どこまでも人間味を付加させるべき色付けと肉付けとテクスチャーの全てを引き剥がした清々しいまでの虚ろ。
ただ色を持つのはその手に握られた一振りの槍とその周囲に広がる空間。
カラーの中に紛れ込んだモノクロイラストのような圧倒的な違和感。
言うなれば線で描いた人型。
それがこの圧倒的なまでに美しい世界に、空しさを呼び込むように佇んでいて。
――静かに告げた。
これより、GHOST-HUNT(亡霊狩り)が幕を開く。