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『孤高』と『孤高王』の出会いのお話。
これはまだ、シューゴたちとハイドが出会って間もない頃のお話。
『世界』が出来てからの『孤高』と自らを『孤高王』と名乗るPCのご対面のお話である。
(ハイド視点)
最近、タウンではある噂がある。
それは二人の『孤高』のお話。
って!その一人は俺!孤高のハイドさまのことだ!
俺は自分のジョブの関係で、人とメンバーアドレスが交換できない。
そのせいで、いつの間にか『孤高』と呼ばれるようになったんだ。
そんでその名前が有名になりすぎて、名前だけが一人歩き。
自分こそが『孤高』だって名乗りだす奴らまで現れる。
まー大抵はすぐにバレて痛い目にあうんだけどな。
しかし、今回の噂はそう簡単に消えそうにないな。
なんせ相手は単純に『孤高』を騙っているわけじゃなくて、『孤高王』と自称している。
孤高の中の、孤高の中の、孤高の中の王。
それがどんな意味を持って、どんな気持ちでそいつが名乗っているのか解らない。
・・・ただ単に『俺のほうが不幸なんだーーー!!!』という不幸自慢野郎じゃないのを祈るぞ、マジで。
俺はその日、ふらりとタウンを歩いている。
なにか特別な意図があるわけでもなく、暇だからなんとなく散歩に出ている程度だ。
初心者のサポートや新米デバッカーの護衛がない日は本当につまらない。
おもしろそうなイベント告知も、最近見ないから本当に暇だ。
俺はおもしろいことないかな~?と辺りを見渡していると、向こうの方からなにかが土煙を上げながら走ってきてやがる!!
「な、なんだーーー!?」
俺は常ならぬそれに思わず呆然としていると、それは真っ直ぐに突っ込んできて・・・
「ふぎゃーーーーーーーー!!!!!」
跳ね飛ばされた。
俺は大きく弧を描きながら、川に真っ逆さまに落ちた。
それはもう見事なまでに水柱を立てたことだろう。
俺はマク・アヌの美しい運河に沈みながら、そんなことを考えてしまった。
「げほげほげほ!一体、なんだったんだ?」
俺はようやく水の中から這い出てくると、そこにいたのはやけに仰々しい物腰の中世貴族みたいな剣士がいやがった。
しかもタウン内でクソキゾクに乗っている。
「おー!これは申し訳ない。お怪我はありませんか?」
「人を目いっぱい跳ね飛ばしての謝罪か、それ!?タウン内でプチグソなんて乗り回すな!!」
俺が怒りをむき出しに言うが、そいつはどこ吹く風といった感じに、紅い薔薇を取り出すとそれを口に銜えて一回転した。
「僕の名前はコミヤン三世!人は僕のことを『孤高王』と呼ぶ!!」
人の話を聞け!・・・ん?孤高王?
「あーー!!最近うわさになってる孤高王っておまえのことか!!!」
「ん?僕のことを知っているなんて、なかなかベテランのプレイヤーだね。しししししししし!」
コミヤン三世はそう言って、不気味に笑った。
なんつーか、ギャグキャラ街道まっしぐらって感じの奴だな。
「ところで、君の名前をまだ聞いていなかったね。」
「俺?俺はハイド。一応、ここじゃ古株だろうな。」
俺が名乗ると、コミヤン三世はなんでかものすごーく驚いた顔をしている。
「君が・・・あの!『孤高』のハイドなのかい!?」
「あのがどれを指すかわからんが、一応孤高と呼ばれている。」
「僕・・・僕、あなたにずっと憧れていたんです!!!!!」
そっからすごいコミヤン三世の俺への賛美の言葉が怒涛のごとく来た。
なんでも幻のプレイヤーだとか、俺のロールの気高さに感動したとか・・・こいつの中で俺は一体どういう存在になっているのか、ちょっと考えたくないな。
そんで、コミヤン三世はそんな俺に追いつき、追い越したくて自ら『孤高王』を名乗っているんだと。
しかもなにげに高レベルだから、下手な奴らにPKされることもない。
・・・こりゃ、俺もうかうかしてたら、本当に追い越されそうだな。
俺はまだ続くコミヤン三世の言葉を聴きながら、口元に笑みが浮かぶのを止められない。
だって・・・若い世代が、着実に育っている証拠だから。