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前サイトの元2000HIT小説。

ハイドと楚良のほのぼのしたお話。

「ねーハイド。」

とある草原フィールドで出会ったハイドと楚良。

いつもなら楚良は出会い頭に問答無用にバトルを仕掛けてくるのに、今日は大人しくハイドと並んで座ってる。

これはかなり珍しい。

「なんだよ。」

ハイドはそんな大人しい楚良に警戒しつつも、間延びした声で応える。

「メンバーアドレスちょ~だい?」

それはいつもの台詞。

ハイドはそれにうんざりとため息を吐く。

「断る。」

 

 

 

 

 

「ねぇ!ハイドってばなんでメンバーアドレスをくれないのさ!」

ハイドがフィールドをすたすたと歩き、それを楚良が追いかける形。

魔方陣や放浪モンスターは全て倒してあるから、襲われる心配もない。

「お前は俺が放浪AIもどきだって知ってるだろ?」

「知ってるよ。だけど、知ってるからこそ、メンバーアドレスちょーだいって言ってんの。」

ハイドがあーいえば、楚良も負けずに返す。

ハイドはこのやりとりに半ばうんざりしていた。

実はハイドがメンバーアドレスを渡さない理由はいくつかある。

その一つが自分の在り方。

この『世界』には『闇の紫陽花』と呼ばれるPCが存在する。

名はハイドランジア。なにを隠そうハイドランジアとハイドは同一人物なのだ。

これを隠すためにメンバーアドレスを渡さない。

そしてもう一つの理由は職業。

メンバーアドレスを渡すと、自動的にそのPCの職業もわかってしまう。

ハイドの職業・・・錬装士(マルチウェポン)。

3つの武器を使う職業のことで、今のThe Worldには存在しない職業なのだ。

仲間うちでこのことを知ってるのはアルビレオだけ。

他の仲間達は一切知らない。

ハイドが二つの武器を使える理由を。

だから隠す。このことを。

CC社側に消される理由をこれ以上与えないために。

「だーめ。これが俺のロールなの。楚良も俺を呼び出すときはあの方法を使えよ。」

「えー、それじゃ時間かかるじゃん。」

ハイドはメンバーアドレスを渡さない、受け取らない。

だからといって連絡が取れないわけじゃない。

BBSにあだ名や二つ名、自分のPC名の由来になっている単語を送信者の部分に書いて、本文なしで送信する。

名前の部分は、ハイドの場合は白の大鎌の名前である『スノーフレーク』、楚良の場合は名前の由来となる師『芭蕉』。

これを確認しだい、『隠されし 禁断の 聖域』に向かう。

ハイドは定期的にBBSを確認するから、すぐにこのメッセージに気づきやすい。

しかし、タイミングが悪く時間がかかることもあるから、決して効率のいい手段でないのは確かだ。

「ね!メンバーアドレスを交換しよ!」

楚良は強請るように言って、両手を差し出す。

ハイドはため息を吐くと、楚良を手を掴んで・・・その場に自分の身体ごと倒すように寝転んだ。

楚良を巻き込んで。

「にょわ!なにすんだよー」

「寝ろ!」

「へ?」

「昼寝すっから付き合え。」

「う~・・・」

楚良はなんだか納得できない感じだが、大人しく仰向けに寝転がる。

視界いっぱいに広がる青空。

現在リアルでは大雨だというのに、ここはとても天気が良い。

「ねーハイド・・・」

「んー・・・」

「ハイドってここで感覚あるんだよね?」

「あるぞ。」

「じゃあ、雨のフィールドとかにも行くの?」

それは純粋な好奇心だ。

タウンで雨なんて降らない。

降ったところで、それはなにかのイベント。

自分から雨に打たれに行くのか、楚良は純粋にそう聞いた。

「行くよ。レアアイテムの雨傘を差しながら、たまに雨の中を散歩したりする。」

「そうなんだ。」

「ああ、ごくまれに傘も差さずに歩くときもある。俺だって、この『世界』にいるけどリアルの気分も味わいたい時があるんだ。」

「ここから出たい?」

「出たくないって言ったら・・・嘘だ。俺は一度リアルに帰りたい。」

「一度?」

「ああ、一度リアルに帰って、それでもう一度ここに帰ってくる。」

楚良はなんだかおかしくなった。

ハイドはリアルにも、この『世界』にも『帰る』という言葉を使っているのだから。

「ハイドにとってのリアルはどっち?」

これは少し意地悪な質問だったかな?

楚良はそう思っていても、聞かずにはいられなかった。

ハイドの答えは、なんとなく解っているけれど、それでもハイドの口から聞きたかったのだ。

「どっちも!この『世界』も、この外の『世界』も俺にとってはどっちも『現実』だ。」

今度こそ楚良は腹を抱えて笑い出した。

なんとも、彼らしい答え。

楚良はそれが可笑しくて、嬉しくて・・・腹筋が痛むほど笑った。

ハイドは突然笑い出した楚良を睨みながらも、とくに何も言わない。

なんとなく、楚良が笑い出した理由が思いつくから。

その日、ある天気の良いフィールドで、いつまでも笑い声が木霊する。

些細な日常の一コマ。
 

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