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今回はネギの正式婚約とアギのお見合いです。

悪魔襲撃事件から一週間たった。
あの後、俺とネギは救助隊が来るまでなんとか生き延びようと村の残った物資をかき集めて、即席のテントを作って過ごした。
貴重なものが保管されている建物は鍵とかが掛かっていて、俺とネギでは開けられなかったから仕方ない。
そうやって3日くらいで救助隊が来てくれた。
俺とネギはすぐに病院に搬送されて治癒術師が見てくれた。
急いで俺とネギの様子を見にじーさんとネカネ姉が来てくれたけど、二人とも泣きながら謝ってきた。
すくなくとも自分がいれば村の結界はもっと強固にできたのにと泣くじーさんに俺は首を振る。

あの時はMMの元老院と会合することになっていたんだから仕方ない。
むしろ無理にでもそれをキャンセルしたら後から何言われるかわかったもんじゃないから、じーさんの対応は間違ってないんだ。
俺は心のどこかでじーさんの言い分に頷きそうになる自分を誤魔化しながらじーさんの言葉を否定する。
これじゃどっちが慰められているのかわかんないな。

 

 

 

 

 


「俺が……俺がネギを護りたいんや!一緒におりたいんや!!」

俺が病室から少し出ている間にどうやら小太郎と詠春さん(父さんと呼ぶにはもうちょっと時間くれ)が来ていたみたいだ。
それで小太郎の声が聞こえてきたんだが……小太郎、それはプロポーズと取られかねないぞ。
俺はなんとなく入りづらかったけど、このまま廊下でいるのも不審に思われるからなるべく静かに病室に入る。
入ったそこには小太郎がネギの手を握ってじーさんと詠春さんをまっすぐ見つめていた。
おおう、まさかの修羅場っすか!?男が男を巡る?修羅場っすか!?
そうやってどれくらい睨み合っていたのか、俺が息を飲んでいるとじーさんが厳かに口を開いた。

「それは今迄のすべてを捨ててスプリングフィールドに入るということになるのだぞ?」

俺はそれを聞いて思い出した。
スプリングフィールドの婿になった男たちは今迄のすべてを捨てていることに。
あまり気にしたことないけど、スプリングフィールドは秘められた一族だ。例外は少なからずあるが、それにもある種の対策も打たれている。
外から婿をとるというには、あまりにも情報が出回っていないと思っていたけど、まさかすべてを捨てていたとは……それでよく婿に来る気になったな。それほど愛し合っているのなら俺は文句ねーけど……小太郎はまだガキだからな、簡単に感情のまま捨てて婿入りしそうだな。
俺は小太郎の次のセリフを予想しながら、答えを待つ。
ネギも小太郎の手をぎゅっと握りながら不安そうに見る。

「かまへん……そりゃ今まで世話になった長さんや姉ちゃんたちと離れることになるかもしれへんけど……それでも俺はネギと一緒に生きていきたいんや!!」

どこまでもまっすぐな、心からの言葉。
……小太郎、おまえ本当に4歳か?
はっきり言って子供が言える台詞じゃねえよ!

「そうか……そこまでも決意があるのならばスプリングフィールドは犬神小太郎を正式なネギ・スプリングフィールドの婚約者と認めよう……ただし、おぬしもネギもまだ子供なのじゃから結婚はネギが18になってからだ。それに……アギ!」

うお!?いきなりこっちにきた!?
つーか入ってきたのは気づかれとったのか。

「なんだよじーさん。」

「おぬしは退院したら見合いじゃ!」

「ちょ!?ネギが正式に婚約するなら俺はお役御免でもいいだろう!スプリングフィールドの血はネギが継ぐんだから今更、俺一人くらい……」

「ばかもん!我が一族が旧世界に根を下ろして数百年。その間に100人ほどの規模であった一族はすでに20人ほどにまで縮小し、さらには今回の襲撃事件で一族はわしらを残して永久石化の呪いを受けておるのだぞ!いつ呪いが解くことができるのか解らない強力な悪魔の呪いじゃ。」

じーさんはそう言ってため息を吐くが、俺もそれは理解している。
他の一族の人間が無事だったらまだ逃げられたかもしれない俺の結婚……血を継げる一族は俺を除けばネギとじーさん……それとナギを入れても3人しかいない。
呪いを解くことができるのが俺たちの代ならばまだいいが、下手したら何代も先のことになるかもしれない。
そうなったらただでさえ少ない血族がさらに減ってしまう確率が高いし、そのうちの一人は魔法世界存続の生贄にしなければいけないから血を確実に継げる人間がさらに減る。
俺だってここまで育ってもらった一族のみんなには感謝しているし、できればそれを少しでも返したい。
だけどさすがにまだこの世界に生まれて4年……それくらいで捨てれるほど前世の常識は忘れられない。
まったく……俺が戦国の人間だったら衆道としてまだ受け入れられたのに。

「お見合いって……いったいどこの誰とだよ。その前に男と結婚するような奇特な奴ってそうそうにいるのか?」

「わしもあまり進めたい輩ではないがな。一族のことを知っているMM上層部が押してくる奴なのだ。古来からわしらの保護を頼んでおるゆえに無下にもできぬ相手。会うだけ会ってくれんか。」

うわーい、なんかすっげーやな予感。

 

 

 

 

 

 

 

「はじめましてフェイト・アーウェンクルスです。」

あれから俺は退院して指定された場所で、お見合い相手と待ち合わせしていたけどなぜか俺と同い年くらいの白髪の少年がきた。
お~い……なんでここで『完全なる世界』の幹部が出てくるんだよ!?

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