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お題は適当で変なお題からいただきました。
今回は陽子sideです。
前回UPした赤い雨と赤い花と対になるような感じです。
といっても、本当にびっみょ~にしか繋がっていませんからあしからず。
どっちも単品で読めるようになっています。
偽者注意報発令!
返信
>紗奈さま
どうぞ使ってください!
紗奈さまに使ってもらえるなんて嬉しいです!
ご報告ありがとうございます!
>未完の月さま
え~っと確か華胥の幽夢までだと思います。
おお!ルルーシュが幸せを願ってくださりましてありがとうございます!
もうルルーシュが幸せになれるように驀進します!
楽俊に関しましては…すいません、シリアスをやろうとして思いっきり失敗してしまいました。
ただ痛いだけの話になってしまいましたね。
よろしければ今回の話も飲み込んじゃってください。
いつもお便りありがとうございます!
道を歩いている…
ただただ一緒に…
隣にはあなたがいて、あたしより目線が低いあなたはあたしを見上げてふっくら笑う。
あたしもそれに釣られて笑う。
やっと心が通じたこの世界での初めての友人。
彼が手を伸ばしたのを見て、あたしも彼の手をとる。
その瞬間、小さい鼠の手が大人の男の人の手に変った。
あたしは驚いて彼の顔を見ると、彼は人間の姿で優しく…見惚れてしまう笑顔で笑っていた。
「あれ?」
陽子は唐突に目が覚めた。
起き上がってあたりを見渡すと、そこは見慣れた部屋の一室。
陽子はいまだぼーっとする頭を抑えて、先ほどまで見た夢のことを考える。
「あれって…確か楽俊と再開して…関弓に向かう旅…」
陽子は口に出して言ってみるが、違和感が出てくる。
あの旅の間、自分は楽俊の人間の姿なんて知らなかった。
しかもあんな笑顔なんて…
陽子はそこまで考えて自分の胸が今までに無いほどの高ぶりを感じた。
楽俊のあの笑顔を思い出すだけで、顔に熱が集まってくる。
陽子はその感情を本能的に悟ると、居た堪れなくなり布団を頭から被って自分の姿を隠す。
陽子は自分の顔が真っ赤になっているだろうことが、容易に想像できた。
「あたしが……楽俊のことを…?」
陽子は楽俊のことを考える。
優しい楽俊、この世界のことを教えてくれた楽俊、陽子が創る国が見たいと言ってくれた楽俊…陽子の心にこれだけ深く根付いている楽俊の存在はもう陽子の想いを十分裏付けるものになっていた。
陽子はそっと寝台から窓の外を見る。
そこには弓のように細い月が優しく部屋を照らしていた。
彼もこの月を見ているのだろうか?
陽子は熱い頬をそのままにぼんやりと遠い空の下にいるであろう彼のことを考えるが、すぐに頭を振って考えを蹴散らす。
自分は慶国の王だ。
そんな自分が誰か特定の相手を想うことは許されない。
想うは慶国の民のこと。民が平和に暮らせるように考えるのが自分の務め。
その自分が予王のように誰かに恋着する…それは許されないことのように思えてしまう。
陽子は必死に自分の想いを隠すように、きつく目を閉じる。
だけど、そんなことをしても一度自覚してしまった想いを否定するのは難しく、陽子はもう一度月を見た。
さきほどは優しいと感じた月も、今は冷たく自分を責めるように照らしていると感じてしまう。
そして楽俊への想いを消そうとする自分とは裏腹に、陽子はどうやったら楽俊を自分の手元に置いておけるのかと思考する自分に気付いてしまった。
「なんて醜いんだ……」
陽子は自分自身をあざ笑うように口元を歪めた。
この想いを相手に伝えることは出来ない。
きっと困らせてしまう…それは彼だけじゃなく、この国の人々も、自分の半身である麒麟すらも…この想いは邪魔でしかない。
だけど、それでも……
「楽俊……好きだよ……」
陽子はそっと呟く。
誰も聞くものはいないというのに、かろうじて音になるかならないかの声量でそっと……そっと……
この呟きこそが陽子のもっとも心の奥底にある本心だというのに…
夜の帳がすべてを覆い隠されてしまう。
陽子はそれっきり自分の想いを口にすることはなかった。