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ルークはその日、自室の窓から満点の星を眺めていた。
その様子は見た目少女のようなルークが星を眺めて感傷に浸っている乙女・・・というものではなく、なぜか室内にも関わらず戦場で星を眺めているような雰囲気が出ていた。
それをうっかり目撃してしまったサイトは、声を掛けようか掛けまいか悩んでいると、ルークがこちらに気づいたのか振り返る。
「なにやってんだ?」
「あ、いや、その・・・ルークが星を眺めるなんて珍しいなって・・・」
サイトはそう言って、俯いてしまった。
振り返ったときのルークの表情が、めったに見られない『男』の顔をしていたから。
「ああ、時間を確かめていたんだ。」
「時間?」
「そ。戦場にいたときの癖でな。時間を確認するときとか星の位置で計っていたんだ。俺は時計を確認するより、こっちのほうが慣れていてな。」
他にも体内時計とかもあるぞ。と茶化した風に言うルーク。
サイトはそれにつられるように笑う。
だから気づかなかった。
ルークがサイトのすぐ近くまで歩み寄っていることに。
「だけどよ、最近その体内時計が狂い気味なんだよ。」
ルークは『男』の顔のままで、サイトの頬にそっと触れる。
近頃、背も伸びてきて以前よりも顔の距離がぐっと近づいてきたルークにサイトは不覚にも胸をときめかせた。
「た、体調が悪いのか?」
「そうかもな。惚れた女と過ごす時間は、どんなに長かろうと俺にとっては瞬きのようなもの。」
徐々に近づく顔。
「気がつけば日は落ちていることなんてざらだ。」
普段見せない獣性を宿した瞳がサイトを射抜く。
「・・・だからよ、そのわびくらいはしてくれよ。」
ふたつの月が輝く夜に、星の祝福の下でふたつの影が静かに重なる。