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ひらひらひらひら・・・

薄紅色の華が舞う・・・

季節を乗せて・・・

春を知らせて・・・
 


.hack//hydrangea
『桜前線』







どうもー!ハイドくんでーす!!

いやぁ、最近はゲームの中でも季節が解るようになってきました。

最初なんて、ただ時間が流れていくだけだったからな。

年間行事のクエストとか出来たときは、やっぱ俺って日本人だなぁとしみじみ思ったもんだよ。

そんな俺ですが、現在『Δ 桜舞う 並木の 憩い』に来ておりやす。

バルムンクから花見イベントの話を聞いて、これは是非とも参加しなきゃならんでしょう!

そうやって、俺は取って置きの日本酒のデータと漆塗りの器を持って参加中!

酒はバルムンクのお手製もの!つまみは満開の桜!

まさに完璧だ!

俺はそうして、酒に舌鼓を打ちながら桜を楽しむのであった。

 

 

 

 


(バルムンク視点)

今日は私が企画したお花見イベントの開催だ。

満開の桜のエリアでプレイヤーたちが桜を見ながら談笑する。

ふっ我ながら素晴らしい企画だ。

それにこのエリアにはちょっとした仕掛けも施してあるからな。

私はそうして桜を見ているプレイヤーたちの間を歩きながら、少し小高い丘になっている桜の木の下に見覚えのあるプレイヤーを見つけた。

「ハイド。」

私が声を掛ければハイドはこちらに顔を向けた。

手に持っているのは以前、仕事の報酬に渡した酒のデータと器。

「よお、バルムンク。今回の企画はなかなかじゃないか。」

ハイドは上機嫌にそう言う。

私もハイドの隣に座りながら、予め作っておいた酒のデータを呼び出す。

やはり酒なくしてなにが花見か。

「お!バルちゃんもいっぱいやるつもりだったのか!!」

「まぁな。こっちも飲むか?」

私が薦めると、ハイドは目をキラキラさせて頷く。

食の楽しみのないゲーム内では、これが一番のこいつの楽しみか。

「うっわー!これって大吟醸じゃん。前に貰ったのはブランデーだったし、やっぱバルムンクって酒のデータ作るのうまいな。」

ハイドはそう言って、美味そうに酒を煽る。

私にはゲーム内で味覚はないが、なんだかデータのはずである酒がこいつと飲むと美味く感じられる。

私とハイドで二人で酒を舌鼓していると、うるさいのが来た。

「バルムンクさん!ちゃんと仕事してください!!」

私の補佐をしている呪文使いレキ。

有能で信頼できるが、こういうところはうるさい。

「あーあー・・・お酒のデータまで作って・・・実際に酔えるわけじゃないのに。」

呆れたように言うレキ。

「なにを言う!酒なくしてなにが花見か!!」

「そうだそうだ!」

私とハイドが力説するが、レキは呆れるだけだ。

「ほら!おまえも飲んでみろよ!!」

「え!?あ、ちょっと!!」

ハイドがレキの態度にキレたのか、酒を強引にレキの口の中に流し込む。

それからしばらく沈黙して・・・

「・・・美味い。」

レキは呆然とした感じに呟く。

やはりハイドの近くにいると、味覚がリアルと同じように感じる。

私の気のせいじゃなかったのか。

「なんで・・・ここはゲームの中なのに、酒の芳醇な香りと味が解るんだ?一体どうなっている?僕は別にリアルでお酒なんて飲んでないのに・・・」

レキはこの事実をにわか信じられないみたいで、その場に蹲ってぶつぶつ言ってる。

ん?私は驚かないのか?だと。

やはり4年前にあのような事件を体験した者の一人としては、この程度のことで驚いていては心身ともに疲れるだけだ。

先輩のアルビレオなぞ、先日ハイドと宴会して精神的二日酔いになってたしな。

 

 

 

 

 

(主人公視点)

俺は酒を飲んで蹲っているレキを見ながら、内心やっぱりと思っていた。

どうも俺の近くでなにか飲んだり食べたりすると、そのプレイヤーも同じように感じるみたいだ。

だったら痛覚とか嗅覚はどうなんだ?なんて話しになるとこっちは別。

とくに普段と変らない。

前にアルビレオと宴会やった次の日、アルビレオは青い顔してたからな。

なんでも精神的な二日酔いらしい。

俺はこのことを知って、たまたまログインしてきた知り合いに片っ端から酒やら食い物を一緒に食わせて、みんな同じ反応を示している。

まぁ、ドットハッカーズのメンバーはこの程度では驚かないほどの、度胸を身につけているからすんなり納得してた。

ちなみに腹も膨れないけど、ブラックローズあたりはいいダイエットになるって言って、俺に食い物ねだりに来ることあるんだよな。

味覚を感じることで、満腹感を得られるから思いっきり食べても太らない。

ただ・・・これは俺の食の楽しみなの!おまえらのダイエット用品じゃないんだ!!

おかげでどんどんストックしていたデータがなくなっていく・・・

近いうちにアルバイトしないとな・・・(T_T)

俺はそう思いながら、辺りを見渡すと見覚えのある姿を発見!

「バルムンク!俺、ちょっと別のところにいくわ!!」

俺はそう言いながら、丘を駆け下りていった。

後ろのほうでは、バルムンクが俺を呼び止める声が聞こえるけど無視!

俺は双子ちゃんのところに一直線に駆け寄るのであった。

 

 

 

 

 


「シューゴ!レナ!」

「「ハイド(さん)!!」」

俺は二人のところに駆け寄る。

二人も御座を広げて花見モードだったけど、俺に気づいてこっちに駆け寄ってきた。

その後ろには・・・犬?

「ハイドも来てたのか。」

「当然!俺がこういったイベントを見逃すと思っていたのか?」

俺はとりあえず犬?に関しては突っ込まず、胸を張ってそう言うと二人は楽しそうに笑っている。

俺はそれを見ながらも、犬を何気なく観察する。

本当にどっかで見たことのある犬なんだよな・・・って、こいつ人狼族じゃねぇか!?

最近出来た隠し職業で、俺も何人か見たことあるが、銀狼ははじめて見た。

俺が知ってる狼形態は黒とか茶色とかだからな。

「シューゴ、その人は知り合いか?」

俺がそう聞くが、シューゴは俺の質問がわからないのか首をかしげている。

レナちゃんも同じように首をかしげている。

ちょっと待て・・・おまえら、そのPCがプレイヤーだとわからずに一緒にいるのか?

いくら隠し職業でも、こんないないはずの犬がいたら気づくだろ?

それにレナちゃんもセカンドPCのはずで、この『世界』は長いと思うんだけどな・・・

知らないなら、それはそれでいいけどね。

俺はシューゴとレナになんでもないと言うと、視界に大きな木桜の木が見えた。

他の木に比べると、その大きさは3倍はありそうなサイズだ。

ただ・・・その木には華が咲いていない。

「なんだ、あれ?」

「え?・・・うわっあれ桜がついてないじゃん!!?」

シューゴも気づいたみたいで、驚いた声を上げている。

桜の華が満開のこのエリアで、あの木の存在はかなり浮く。

もしあれに華がついているのなら、さぞや美しいだろうに・・・もったいない。

俺は様子を見ようと、その木のふもとまで行く。

当然のように、シューゴ、レナ、人狼族もついてくる。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に華が一つもついてないな・・・」

俺たちは桜の木の下について、見上げる。

だけど蕾一つついてない。

真冬の桜の木と同じだ。

「これって・・・バグなのかな?」

「それはない。」

レナちゃんの言葉に、俺は即効で否定した。

「なんでだよ?だって、他の桜は全部咲いてるのにこいつだけ咲いてないなんて、おかしいだろう?」

シューゴはそう首を傾げて問いかけてくるが、俺には根拠がある。

絶対的な根拠が!

なんせ・・・この企画をしたのはバルムンクだ!

あいつが『ただの』花見の席を用意するのはおかしい!

絶対になにか仕掛けがあるだろうと俺は睨んでいたが、こうもあからさまなものを用意するとは思わなかった。

精々、桜の木の下には死体が埋まってるなんて発想で、誰が掘り起こすもわからないアンデッド系モンスターを用意しているだけだと思っていたのに・・・やるな、バルムンク。

「これは隠しイベントだ。恐らく、この桜の木の花を咲かせればレアアイテムが手に入る謎解き系のもの。」

「隠しイベント!?なんでハイドがそんな事知ってんだ!?」

「別に知ってたんじゃなく、この花見を企画した奴がイベントも用意しないというのはおかしいと思ったからだ。案の定、こんなあからさまなものを用意してたってわけ。」

俺の説明にみんな納得する。

ついでに、俺たちと同じように桜の木の下に集まっていた他のプレイヤーもしきりに感心してる。

「問題は・・・どうやって華を咲かすかだ。」

近くに告知の看板も、ヒントらしきモノもない。

まったくのノーヒントでやらなきゃならないんだ。

ま!所詮、バルちゃんが考えたイベント。

俺にはその思考を簡単にトレースできる!

「よし、掘るか!」

パネルを操作して、あるアイテムを呼び出す。

そのアイテムは・・・

「す、スコップ?」

そうスコップ!

工事現場とかにある巨大スコップが俺の手にある。

そして!

「おラオラオらおらおらおらおらおらおら!!」

ざくざくざくざくざくざくざくざく!!

俺は猛スピードで桜の木の下を掘る。

「な、なんだなんだ!?」

シューゴが俺の行動に驚いている。

ふっ君もまだまだ甘いな。

「桜の木の下には死体が埋まってる。その要領で、桜の下になにかしらのヒントが埋まってるはずだ。ほら、おまえらも掘れ!」

俺が促すと、あちこちでざくざくと土を掘る音が聞こえる。

人狼族のPCも手伝ってくれてる。

さーて、誰が最初に見つけるかな?

 

 

 

 

 


(シューゴ視点)

ハイドって頭いいんだな。

ハイドに促されて桜の下を掘り始めて数分。

俺はそう思いながら、また掘る。

それにしても、今日のハイドのテンションなんかおかしいぞ?

いつも明るい奴だと思っていたが、まるで酔っ払っているみたいだ。

・・・まさか、リアルで酒を飲んでんのか?あいつ。

俺は横目ですごい勢いで掘るハイドを見る。

かなり深く掘っているみたいで、あいつの姿が見えない。

おいおい・・・どこまで掘る気だよ・・・

ガキンッ

「あれ?」

俺がスコップ代わりにしていた剣から、硬質な音が聞こえてきた。

なんかヒントが出てきたのか?

俺はそれを掘り出そうとして・・・固まった。

・・・だって・・・だって・・・そこにいたのは骸骨だったからだ!

「うわー!ほねーーーーー!!!!?」

俺は思わず絶叫を上げて、その場から飛び退った。

いくらなんでも、マジでこんなもん埋めんなよなー!!

『HONE』

「へ?」

気のせいか、骸骨が喋った。

ギラーンッ

「ひっ」

骸骨の目が光って、俺を見てる。

それと同時にバトルモードオンの音声案内。

俺の本能が告げてる。

これはやばい。

『HONEEEEEEEE!!』

「うぎゃあーーー!!」

こうして・・・俺と骸骨・スケルトンの追いかけっこが始まった。

 

 

 

 

 


(レナ視点)

「お兄ちゃん!?」

私がハイドさんやお兄ちゃんにならって穴を掘ってると、いきなりお兄ちゃんがスケルトンに追い掛け回されていた。

うそ!?なんでこんなところにモンスターが出てるのよ!!?

スケルトンは中級者なら問題なく倒せるモンスターだけど、今の私やお兄ちゃんじゃ勝てない。

私はハイドさんに助けを呼ぼうと思って姿を探すけど・・・いない!?

「あれ?ハイドさん、どこに行っちゃったの!?」

私は慌ててハイドさんを探すけど、どこにも見つからない。

こうしている間も、お兄ちゃんはスケルトンに追いかけられているし・・・あーもー!どうしろっていうのよ!!?

私がいろいろと考えている間に、お兄ちゃんはスケルトンにどんどん追い詰められている。

「お兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

(シューゴ視点)

俺はスケルトンに追いかけられて、いろいろ逃げ回っているうちに、追い詰められた。

後ろには、例の華の付いていない巨大な桜の木。

前方には武器を構えてにたにた笑っているスケルトン。

うわー・・・今日は妹と一緒に楽しい花見祭りだったはずなのに、なんでこうなったのかな~?

俺はいろいろと混乱しながらも、覚悟を決めて目を閉じてたら、予想していたことが起きない。

戦闘不能の告知も出てこないし、ダメージを受けた音も聞こえない。

俺が恐る恐る目を開けると、俺やハイドとも違う青年タイプの双剣士が目の前に立っていた。

「あーあ!こんなの俺の役じゃないのににゃー・・・」

 

 

 

 

 

(楚良視点)

いつもPKする立場な自分が、PCを助けるなんてらしくない。

これもみんな、あの放浪AIもどきや他のみんなと関わってからだ。

俺は苛立ちながらも、スケルトンを睨みつける。

俺が吹っ飛ばしたスケルトンは、食らったはずのダメージを徐々に回復させてる。

・・・おかしい。

俺のレベルなら、スケルトンくらい一発で倒せるはずなのに、こいつは消滅しない。

くそっウワサの改造モンスターか。

俺はスケルトンの攻撃をさばきながら、考えを巡らせる。

強さは通常のスケルトンを強化した程度。

だけど、改造されたせいでHPは無限に近い。

あー!こんな役はクリムやバルムンクの役なのにー!!

そのとき、俺の横からいくつもの光が伸びてきた。

 

 

 

 

(主人公視点)

俺はまだ穴を掘っていた。

ここははずれなのかな?

俺はそう思って穴から這い出そうとしたとき、上のほうが騒がしいのに気づいた。

あり?誰かが引き当てたのかな?

俺は出遅れた感が拭えずに穴から這い出すと、俺の額に光の筋が伸びてきた。

あれ・・・なんだよ・・・これ・・・

そこで俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

(シューゴ視点)

俺はとっさに腕輪の力を発動させて、モンスターを弱体化させようとしたけど、なぜかモンスターに光が届かず、まわりのPCに光が伸びていった。

レナやいつの間にか来ていたミレイユ、それにあと一つ俺からは見えない場所に伸びていってる。

「・・・って、なんだよこれ!?」

俺は訳がわからなくて叫んでいると、俺を助けてくれた双剣士は信じられないような目で、腕輪を凝視している。

「うっそー!こんなときに失敗なんてついてなーい!」

え?これ失敗?失敗なのか!?

俺は助けを求めるように双剣士を見るけど、そいつは肩を竦めただけで身軽な様子で近くの桜の木の上に退避する。

「その腕輪ー、失敗するとまわりのPC巻き込んでステータス異常になるから気をつけてねー!」

そんな言葉を残して、その双剣士はばびょん!とか意味不明な掛け声とともに去っていった・・・

「って、この状態でどうしろっていうんだー!!」

俺の叫びと共にスケルトンが再び襲い掛かってきて、俺は慌てて避けながらレナのところに行く。

とりあえず、ここから離れないと。

「レナ!とりあえず逃げる・・・ぞ?」

俺はレナの手を引っ張って逃げようとするが、レナの様子がおかしい。

目をうるうるさせて、顔を紅くして俺を見つめてる。

それで・・・

「お兄ちゃん・・・だーい好きv」

などと言って抱きついてきたー!

「うぉい!?どうしたんだ、レナ!?」

「お兄ちゃん、大好き・・・」

俺はレナを引き離そうとしたけど、双剣士の俺より力のある重剣士のレナに勝てるわけなく、はがすことが出来ない。

これが・・・これがさっきの双剣士の兄ちゃんが言ってたステータス異常なのか!?

『HONEEEEEE!!』

「うわ、やばい!!」

俺は迫ってきたモンスターから逃げるためにレナを抱えたまま逃げる。

「レベルも低いし、こんな状態じゃ戦えない!ハイドの奴はどこいったんだー!?」

ざくっ!

俺の悲鳴のような言葉とともに、モンスターが誰かに攻撃された。

『HONEEEEEEE!?』

モンスターは、なぜかそのまま消滅した。

今まであの双剣士の兄ちゃんが何度攻撃しても倒せなかったのに・・・

俺はモンスターを攻撃した奴を探そうと視線をめぐらせると、すぐに見つかった。

真っ黒いローブに、白い大鎌を持ったPC。

一度だけ見たことある。

最初の冒険のときに、レナをお姫様抱っこしてた奴だ・・・!!

「てめぇは・・・レナに手を出した・・・!?」

俺があの時のことを言おうとしたとき、俺の目の前にいきなり大鎌の切っ先が刺さっていた。

「あっれー?はずれちゃった?ま、いいか。次ははずさないよー♪」

そいつはくすくす笑うとゆっくり大鎌を振り上げる。

なんか、前に会ったときと口調も雰囲気も違うぞ!?

「うそ!?あれって『闇の紫陽花』!?このゲーム最古参のプレイヤーだよ!?」

ミレイユがそんなことを言ってるけど、考えてる暇がねー!!

俺はレナを抱えて逃げ出す。

なんで俺があんなのに狙われなきゃいけねーんだ!!!?

 

 

 

 

 

そうやって何度なく快速のタリスマンも使って逃げ回っている俺らに、あいつはしごくゆっくりとした調子で迫ってくる。

なんつーか、死神に追われてる気分だぞ!?

「くすくすくすくす・・・どこに行ったのかなー?出ておいでよー?一緒に遊ぼう?」

あいつはそう言いながら、確実に俺らに近づいている。

ちょっと待て!マジでホラーもののゲームやってる気分だぞ!?

レナはレナで、まだ俺に引っ付いてるし!?

俺はなんとか逃げる算段を考えるが、それこそ無駄。

なにせ・・・既に俺らの前にいるからだ!!

「み~つけた♪」

こんなことなら考えずに我武者羅に逃げるんだったー!!

後悔してもすでに遅し!あいつの刃が俺らに迫る。

もう逃げられなくなり、俺は今度こそ覚悟を決めたとき・・・

「はれ?」

なんとも間の抜けた声が聞こえてきた。

「へ?」

俺も間の抜けた声を出す。

「あれ?お兄ちゃん?」

レナもなんだか寝ぼけたような声がした。

 

 

 

 

 

(主人公視点)

俺はいつの間にか『闇の紫陽花』モードになっていて、なにがあったのかシューゴに聞いてみて驚いた。

俺・・・シューゴのデータドレインの失敗の余波を食らって、混乱したってわけか。

「なるほど・・・我が受けた光の正体はその腕輪の仕業か。」

本当にとんでもねーよ!被害が出なくてよかったー・・・

「すいません・・・本当にすいません!」

シューゴが俺に土下座して謝ってるけど、そこまでされると返って引く。

「構わぬ。だが、汝がそれ相応の力を身につけるまで、その力をあまり使わぬことを心がけよ。」

俺がそう言って踵を返す。

これ以上ここにいると、なんか収拾つかなくなりそうだからな。

そのまま俺はゲートアウトした。

なんか酒を飲みすぎて、少し気持ち悪くなったしな・・・

 

 

 

 

 


そのあと、バルムンクたちから文句を言われまくった。

あのあと、俺が倒したスケルトンのあとに、他のスケルトンが大量発生しててんてこ舞いだったらしい。

それも人狼族・・・『神拳』の凰花の手助けもあって、なんとか片付いたらしいけどな。

けど・・・あんまり大声で怒鳴らないでくれ・・・二日酔いで頭に響く・・・

同じ量を飲んでたバルムンクはぴんぴんしてる。

俺はザルだが、あいつはワクだ!

それからしばらく、俺はホームから一歩もでることが出来なかった。
 

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