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キラキラキラキラ・・・

いくつもの光が俺の目の前に散っていく。

その光は一体なんなのか俺には解らない。

これが現実なのか、夢なのかさえも・・・
 


.hack//hydrangea
『意外な結末』







ぽ・・ー・・・・ん・・・・

高く澄んだ音が俺の耳に届く。

どこかで聞いたことのあるような音。

ポーン・・・ぽーん・・・ぽーん・・・

まるで音楽のように聞こえてくるその音は・・・確か・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ハ長調ラ音・・・?」

俺はそう呟いて目を開くと、最初に目に飛び込んだのは見覚えのある・・・とても懐かしい天井。

1年以上見ていなかった天井だ。

でも、それ以前は毎日見ていた天井。

起き上がると窓から見慣れた景色、見慣れた部屋、見慣れた・・・

「俺の・・・家・・・?」

そこは紛れもなく、リアルでの俺の家だった。

 

 

 

 

 

 

 

「今までのが、全部夢だったのかな?」

俺はバイト先に向かいながら頭をひねって考えてみる。

俺が.hackのゲームの世界で、放浪AIもどき・・・考えてみるとおかしなもんだな。

だけどたとえ夢でも・・・

「カイトたち無事かな?」

ヘルバやアルビレオもあの場にいたんだから、きっと大丈夫だ。

レベルも随分上がってたし、バルムンクも三十朗も一緒なんだから、きっと平気だよな。

絶対、みんな逃げ切れてるよ。

俺はそこまで考えて、ふと思考が止まった。

「あれ?夢のことなのに、なんで俺こんなに気にしてるんだ。」

あの夢は全部終わったんだ。

俺的には最悪な終わり方だけど、こうやって目を覚ましたんだから終わりなんだ。

そうだ!久しぶりに帰ったら.hackやるか。

そうすればこのもやもやも解消できる。

・・・ジジィ・・・

あれ?なんだろう。

さっきなんかノイズみたいなのが・・・気のせいだよな?

だってここはリアルなんだ。

0と1で構成されたデータの世界じゃないんだ。

俺はさっき見たものを気のせいだと思い、バイト先へと足を速めた。

 

 

 

 

 

 


「はー・・・つっかれた・・・」

俺はバイトから帰ると大の字でベッドの上に寝転んだ。

上を見れば見慣れた天井。

「あ・・・そういやゲームやるんだった。」

俺は起き上がるとゲームソフトを積み上げている棚に近づく。

.hackは頻繁にやるほうだから、結構手前に・・・あれ?

そこで俺は違和感を感じた。

・・・おかしい・・・いつもならそこにあるはずのソフトがない・・・

「他のところに置いたのかな?」

俺は気を取り直してPS2の中を見るがからっぽ・・・

「あれぇ~?・・・しゃーない、パソコンでもやるかな?」

ゲームをやるのを諦めるとパソコンを起動させる。

もしかしたら.hackの掲示板とか書き込みあるかもしれないし。

俺はお気に入りに入っているサイトを開こうとして、マウスを動かしていた手が止まった。

「なんでだよ・・・なんで.hack関連のサイトがなくなってんだよ!!」

俺は自分の目が信じられなかった。

俺は公式サイトを見ようと検索をかけるが、ひとつも引っ掛からない。

どうなってんだよ・・・どうなってんだよ!!?

.hackのゲーム自体、俺が夢で作り出した妄想なのか!?

そんなわけない!

だって俺の記憶にはあんなにも鮮やかに・・・

・・・ジ・・・ジジ・・・

まただ・・・また・・・ノイズが・・・

これは夢なのか?

あっちが夢なのか?

わかんねー・・・わかんねーよ!!?

どっちが夢でどっちが現実なのか!!

それとも・・・どっちも夢なのか?

スノーフレークのことも、アルビレオのことも、ヘルバや司、ミミル、ベア、楚良、昴、カイト、オルカ、バルムンク・・・

みんなのことも夢だったのか?

俺の意識が深いところに沈みそうな、そんな感覚に陥った。

 

 

 

 

 

 

ポーン・・・

またあの音だ。

なんだよ、ここに八相やらトライエッジが現るのかよ・・・

俺はそう思って顔を見上げると、そこにいたのはもう話すことも出来ないと思っていた少女。

「タツキ」

「スノーフレーク」

俺は呆然と彼女を見た。

だって、スノーフレークはアウラを護るために・・・

スノーフレークはなんだか怒っているみたいに頬を膨らませて、俺を見下ろしていた。

そしておもむろに俺の胸倉を掴んだ。

「なにこないなところでくすぶっとんや!!おどれはそんなタマやあらへんやろ!!!」

怒鳴られた・・・

うわー・・・この関西弁も懐かしいなぁ・・・

俺が頭の隅でそんなことを考えていても、スノーフレークは気づくことなくまくしたてる。

「わいらのことが夢!?そないならおどれが今までやってきたことも全て夢なんか!?おどれがやってきたことは全て無駄なんか!?」

夢・・・?

今目の前で怒鳴ってるスノーフレークも、今まで俺がやってきたことも?

俺のなかで霧が晴れたような気がした。

「・・・そんなわけない。全部夢なんかで終わらせてたまるかよ・・・」

俺が受けた痛みも、タウンの匂いも、他のPCと話したことも・・・全部・・・

 

 

 


「夢にしてたまるかー!!!」

 

 

 


俺がそう叫んだ瞬間、周りの景色が音をたてて崩れた。

残ったのは、闇の紫陽花の時の黒いローブをフードを脱いだ状態で着た俺と、スノーフレークだけだった。

まわりの空間にはなにも無かった。

まるで宇宙みたいな・・・いや、まるでアバター空間だ。

俺は真っ直ぐにスノーフレークを見る。

「夢じゃない。全部現実なんだ。俺にとってはどっちもかけがえの無い現実なんだ。」

そこで俺は一度言葉をとめる。

「まだ俺の出来ること全部やってないんだ。だから・・・おねんねすんのは今じゃねー!!」

俺がそう言い切ると、スノーフレークは嬉しそうに笑った。

「それでこそタツキや。」

彼女はそれだけ言うと、その姿は真っ白い大鎌に変った。

俺と共に戦ってくれた牙に。

「サンキューな、スノーフレーク。」

俺は大鎌の柄をしっかり握る。

ここが一体どこなのか俺は知らない。

だけど・・・俺は『今』は立ち止まらない。

俺はそう胸に刻んで、一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 


しばらく歩いて、なにもなかった空間に光の亀裂のようなものが見えた。

俺はそれを見て、夢中になって走りよった。

あの光がなにか解らないけど、俺の直感が言ってる。

あの光の先に、みんながいるって!!

そして、俺が光に飛び込んだ瞬間に見えたのは、異形のなにかとそれと戦うカイトたち。

しかも俺って異形の真上じゃねーか!?

「え・・・ええええええええ!?」

俺はパニックのあまりスノーフレークで、その異形を思いっきりぶった切る。

が、その異形はあまりダメージを感じていないみたいで、大きな腕で思いっきりなぎ払われた。

「うぎゃ!?」

俺は地面に叩きつけられて、そのまま転がる。

つーか、いてぇ・・・

「ハイド!?」

遠くでカイトの声が聞こえる。

俺は遠くなりかけた意識を必死に繋ぎとめようとして、最後に見た光景は、カイトの剣がアウラを貫く瞬間だった。

おいおい・・・ラストかよ・・・

そう考えながら、俺の意識は完全に闇に落ちた。
 

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