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俺はただ待ち続けた。

クルクル回るゲートをぼんやり見ながら。

これから現れる蒼海と蒼炎を・・・
 


.hack//hydrangea
『孤高と蒼炎』







俺はハイドの格好でマク・アヌのカオスゲートでぼんやり待ち続けた。

この世界では時間なんてわからない。

ただまわりの奴らの話を盗み聞きして、今の時間を推測するしかない。

オルカとカイトが今日来るのは間違いないが、何時来るかまでは解らないから、俺はこうして待つしかないのだ。

俺は何度かパーティに誘われて断っているのを繰り返していると、若草色の、俺と同じエディットの双剣士が現れた。

おぼろげな俺の記憶にあるカイトの初期PCと同じ・・・カイト?

カイトはきょろきょろとタウンを見回している。

初めてこの世界に来た奴の9割がたがそんな反応をする。

初々しいもんだ。

俺が微笑ましく思っていると、オルカが現れた。

やっぱりあいつが”カイト”か。

俺は何気なくオルカとカイトに歩を進める。

「おーっす!蒼海のオルカ。久しぶり!」

俺はことさら明るく声をかける。

向こうも俺に気づいて、明るく迎えてくれる。

「久しぶりだな、孤高のハイド。カイト。こいつの名前はハイド。お前と同じ双剣士だ。ハイド。こいつはカイト。俺の友達だ。」

オルカの紹介に俺はカイトに向かってニッと笑ってみせる。

「よっしくカイト。俺そこそここの世界長いから、困ったことがあったら相談に乗るぜ。」

俺を見つけられればの話だけどな。

「こちらこそよろしく。あ、メンバーアドレスの交換・・・」

カイトがメンバーアドレスを俺に渡そうとするが、俺はそれを拒否する。

カイトはそんな俺に困ったような顔をすると、オルカが笑って説明した。

「カイト。こいつは一度もメンバーアドレスの交換をしたことがないんだ。一方的に受け取ることも渡すこともしない。だからこいつに付い二つ名は『孤高』って言うんだ。」

「え!?一度も!?それでどうやって相談ごとを・・・」

あ、その質問、以前BTにもされたな。

「俺はいろんなサーバ、いろんなエリアをあっちこっち移動してるから、BBSとか他のPCからの情報をもとに俺を探し出す。」

ある程度、情報収集能力がないと俺を見つけることは出来ないぜ?

俺は人が悪そうな笑顔で言うと、カイトはうーんと頭を悩ませる。

「それでも緊急の時とかはどうしてるのさ?」

「俺相手に緊急の用事がある奴なんて早々いないさ。いたとしても、俺とそいつらしか解らない方法で連絡を取り合うようにしてる。」

といっても、相手は今のところアルビレオ以外いないし、方法もすごく簡単でBBSで名前のところにアルビレオの場合は『彼岸花』、俺の場合は『スノーフレーク』と書いて、本文ナシでレスするだけ。

これを確認したら、すぐに『隠されし 禁断の 聖域』に向かう。

実質これだけだ。

名前のところは『紫陽花』でもよかったが、『闇の紫陽花』の名前は結構有名になりすぎたからな、下手に使うことが出来ない。

実はたまにヘルバも使って来るんだよな、この方法。

名前も解り易く『闇の女王』だし。

俺はカイトたちに気づかれないようにメニュー画面からBBSをチェックする。

アルビレオからの召集があったら困るからな。

・・・よかった、今のところはないみたいだ。

「ところで、これからどうするんだ?」

俺がそう聞くと、とりあえず初心者向けのエリアで操作になれることとレベル上げだって。

オルカとカイトがパーティを組んで、俺はそれについて行く形でエリアに向かった。

エリアワードは『萌え立つ 過ぎ越しの 碧野』

レベル1の超初心者エリアだ。

 

 

 

 


「初々しいな。」

俺はのんびりとカイトがゴブリンを虐殺しているのをオルカの隣で見る。

「初めてにしてはいい動きしてるじゃねぇか。ありゃ経験積めば化けるぜ。」

「お、ハイドに褒められるとは、カイトの奴きっと俺やバルムンクと同じぐらい有名になるな。」

うん。それは確信持って言える。

カイトは将来の黄昏の勇者だからな。

もしくは薄明の勇者でも可。

あり?俺はそもそも、なんでカイトが腕輪を受け取ることになったのかを調べるために同行したんだよな?

特に危険がなければほっといてもいいはずなのに・・・

なんで付いていこうって考えたんだ。

俺はしばらく頭を巡らして考えてみるが、なにもわからない。

けど、なにかが引っ掛かる。

それから俺たちはフィールドのモンスターを全部倒して、次にダンジョンに潜った。

 

 

 

 

 

 


俺たちがダンジョンに入ってすぐ、俺は自分の目を疑った。

アウラが俺たちの目の前でスケィスに追いかけられているからだ。

アウラの奴、まーた追いかけられているのかよ。

俺は半ば呆れた目でそれを見る。

オルカとカイトは驚いた表情だ。

「あれって、なにかのイベント?オルカ」

カイトがオルカにそうたずねている。

俺は口を挟まない。

なんかややこしいことになりそうだし。

「あれは・・・最近ウワサの・・・?」

オルカはなにか思案している。

そういや、オルカとバルムンクは最近のバグ事件を追っていたっけ。

俺はこっそり2人から離れた。

アウラのこと放っておくわけにはいかない。

俺はこの後自分の行動を深く後悔することになった。

この時、アウラを追いかけるんじゃなくカイトたちに付いて行けば、もしかしたら未来は変っていたかもしれないのに。

 

 

 

 

 


「アウラ!」

俺は他のプレイヤーに見られてもいいように、ハイドランジアの姿でアウラたちが入っていった部屋に入る。

しかし、そこは行き止まりで誰もいなかった。

ちっ他のところに転移したのか?

アルビレオが気づいてくれればいいけど・・・

俺は戻ろうとして踵を返した瞬間、後頭部を激しく殴られた。

「な・・・!!?」

俺は地面に倒れる前になんとか身を捩じらせて相手を見ようとして、驚愕に目を見開いた。

俺を見下ろすのは、この半年で見慣れた異形。

「スケィ・・・イス・・・」

闇に堕ちていく意識のさなか、俺はそれだけ呟いた。
 

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