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この世界にはさまざまな人たちが集まる。

いい人も悪い人も・・・

俺はそんな人たちをたくさん見てきた。

だが、こいつら以上に奇人な人たちを俺はまだ見たことが無い。
 


.hack//hydrangea
『孤高と愉快な人たち』








こんちわ、久しぶりにダンジョン探索に潜ったハイドくんでーす。

カイトの修行のプレゼントを探しに来ました。

なんのことだ?って思う人が大多数だろうから説明するけどよ。

ハイドランジアとしてカイトに修行をつけていることは、みんな知ってるよな?

カイト1人の時もあれば、ブラックローズやミストラルたちとパーティを組んで挑んでくるときもある。

その修行のときに、俺が成長したって思えばそのときのカイトのレベルに応じて装備品を授与してるんだわ。

なかには結構なレアアイテムも用意!!

ある意味、修行イベントキャラ扱いなのだ。

カイトはまだ一回しか、アイテム貰えてないけどな。(覚悟を確認した時。あとでサービスでやった)

んで、そのアイテムは全て俺が用意してる。

アルビレオに都合してもらえば?なんて声もありそうだが、それは無理。

アルビレオは俺の味方だけど、表面上CC社のデバッカーのリーダー。

んなアイテムの横領染みたことを頼むわけにはいかないんだ。

最近、カイトたちだけじゃなくブラックローズやミストラルたちも個人で来るようになってきたし、アイテムは多く用意しておくに越したことはない。

俺はフラグメントからここにいるわけで、暇つぶしにレアアイテム探しなんかもやるから結構いいのが揃ってるぜ?

その道の奴らからは、隠れレアハンターとも呼ばれてます。(孤高モード)

そんな訳で、このダンジョンにレアアイテムがあると聞きつけてやってきたんだよ。

「確か武器だと聞いたんだが・・・」

俺は集めた武器の情報を頭の中で反復しながら、ダンジョンの中を進む。

このダンジョンは中級者向けのもんだから、問題なし。

俺は襲ってくるモンスターを楽々と撃退しながら、進んでいく。

結構深い、複雑なダンジョンだ。

俺はそう思いながら大きな部屋に入ると・・・

 

 

 

 

 

 

緑のおかっぱ重斧使いがいた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はっ!あまりのインパクトに一瞬意識が遠のきかけた!!

俺は頭を振って、もう一度そいつを見た。

ごつい見たことのないエディットの緑の鎧に黒髪のおかっぱ。

武器は重斧。見るからに重斧使いとわかる。

さっきから、モンスター相手に大笑いしてたり変にコミカルな動き。

・・・俺は確信した。

こいつはぴろしだ。

俺が知る限り、.hackゲーム内1,2を争うインパクトキャラ。

この世界にいるのは知っているけど、出来ればあまり関わりたくない。

こいつのテンションについていける自信がねーんだよ!!(断言)

ついさっきも生で見て、意識遠のきかけたしよ。

「なはははは!見たかモンスターめ、このぴろしに立ち向かってくるからだ!!」

俺は気づかれないように、こそっとその部屋を通り抜けた。

ぴろしに立ち向かっていく勇気がなくてごめんなさい。

 

 

 

 

 

「あー・・・気づかれなくてよかった・・・」

あれとまともに付き合うか、腕輪無しでモルガナと一騎打ちするかと聞かれれば、俺は真剣に悩むぞ。

そうやって俺は肩をがっくり落としながら、とぼとぼとダンジョンの暗い道を歩く。

この世界は長いけど、あれ以上のインパクトはいまだない。

俺はそう思って、次の大部屋に入った。

そこにいたのは、いつの間にか知り合いになっていた賢者さんがいました。

「ワイズマン!久しぶりだな。」

俺は知り合いに会えて、嬉々として声を掛ける。

どうやら他のプレイヤーに情報を渡しているようだ。

「ハイドか。久しいな、最近姿が見えないからあのウワサが本当なのかと思ったぞ。」

「俺は24時間この世界にいるさ♪・・・ウワサって?」

俺やハイドランジアにはさまざまなウワサがあるけど、賢者がわざわざ言うウワサってなんだよ。

「君が正体不明のモンスターにやられて、意識不明になったと。」

俺はそれに思わずずっこけてしまった。

確かにスケィスに不覚をとったけど、こうして無事だって。

「確かに正体不明のモンスターにやられかけたけど、間一髪で助かったんだよ。ワイズマンこそ、こんなところでアイテム探索か?」

「あぁ、珍しいアイテムがあると聞いてな。あと、そろそろ情報屋の拠点を変えようかと考えているんだ。」

情報屋ワイズマン。

その道の奴らからは賢者と呼ばれている存在。

・・・まさか、実はリアルで小学生なんだって気づく奴いるのかねー?

「あんたがアイテム探しなんて珍しいな。いっつも情報収集して、この世界を知ろうとしてるのにな。」

俺が茶化して言うと、ワイズマンは気にした風でもなく苦笑する。

「たまには、年相応にアイテム探しやレベル上げするさ。君こそ、このレベルのダンジョンなど楽勝だろ?」

「俺もレアアイテム探し。ちょっとプレゼントしようと思っている奴らがいてな。」

「君が?それは興味深いな。かの有名な『孤高』からのプレゼントなんてレア中のレアだな。」

ワイズマンの瞳がぎらりと光る。

やべっこいつの興味引いちまったよ・・・こいつにかかったら、下手したら『闇の紫陽花』だってばれちまう!

「そんなにすごいことか?レベルカンストしてからは、初心者のサポートとかいろいろやってるけど?」

「だが、プレゼントはほとんどしたことがないだろう?したとしても、よほど君と親しい者達だけだ。フィアナの末裔以外でそんな者達がいるとはな。」

「はは・・・情報が早いことで・・・」

俺は顔に笑顔を貼り付けて、じりじりと後ずさりする。

やばい・・・これ以上ここにいたら、全部暴かれかねない。

俺は自慢じゃないがそんなに口が回るほうじゃない。

口でこいつには適わないことは、とっくに解ってる。

こういうときは・・・

「逃げるが勝ち!!」

俺は即効踵を返して、その部屋を通り過ぎた。

ワイズマンが追いかけてこないこなかったのは幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

あー・・・なんか疲れた。

俺は頭ぼりぼり欠きながら、歩く。

ぴろしに遭遇したときよりかは、早足でだが。

俺はあれからいくつかのフロアを過ぎて、また広めの部屋に出た。

このダンジョンって広い部屋多いな。

「はい、ミア。エノコロ草だよ。」

「ありがとうエルク。いいにおいだ。」

・・・まじですか?

俺の目の前に黒だか藍だかの呪文使いと猫型PCの剣士がいました。

なんで今日に限って、.hackメンバーと会いやすいんだー!!?

「こんにちわ、あんたたちもアイテム探しかい?」

俺は表面上穏やかに2人に声を掛ける。

俺の言葉にエルクとミアが振り返った。

あ、エルクの奴あからさまに不機嫌になりやがった。

「あぁ、君もかい?」

「おう。ここにレアな武器があるって聞いてな。」

「へぇ・・・僕たちはここにエノコロ草がたくさんあるって聞いて来たんだけどね。」

「そうなんだ。」

俺とミアが和やかに話していると、我慢できなかったのかエルクが割り込んできた。

「ミア!もう次のエノコロ草を探しに行こう!!」

「あ、わかったよエルク。それじゃあね。」

2人はそのまま部屋から出て行った。

エルクは振り向きざまに思いっきり睨んできたけどな。

俺はまた2人とう遭遇すると面倒だから、別の道からその部屋を出ました。

 

 

 

 

 

 

 


「ここがラストだな。」

俺は妖精のオーブで確かめながら、眼前の扉を見る。

流石にあれから.hackメンバーには会わなかった。

ここで最後なんだし、これ以上会うことはないだろう。

俺はそう思って扉をゆっくりと開いた。

そしてその先にいたものを見つけて・・・

 

 

 


崩れ落ちました。

 

 

 


「な・・・なんでバルムンクがここにいんだよ!?」

白銀の鎧に純白の翼。

カリスマプレイヤーと名高い蒼天の二つ名持ちがなにやってんだよ。

バルムンクは俺に気づいたのか、振り返る。

その顔は、不機嫌なことこの上なかった。

「ハイド・・・おまえもレア武器の情報を知ってここにきたのか?」

「そうだけど・・・なに?バルちゃんもそうなの?」

俺の言葉にバルムンクは深くうなずく。

俺より先にいるなら、とっくにアイテムは手に入れてるはずだ。

それなのに、バルムンクの表情は暗く、重い。

「BBSであった書き込みを見て、どんなものなのかと思ってきたのだが・・・」

バルムンクはそこでふか~いため息を零した。

そして、俺に歩み寄ってきてなにかを渡してくる。

一言、「やる」とだけ呟いて、そのまま精霊のオカリナで消えていった。

「お・・・おい、バルムンク?」

なんだよ、あいつらしくない。

俺はそう思いながら、自分の手元を見る。

「こ・・・これは・・・」

 

 

 

 

 

 

あれから数日。

大聖堂で、俺はハイドランジアとしてカイトと勝負していた。

カイトは最初よりかは勝負が続くようになってきたな。

「はっ」

俺は大鎌を一振りして、カイトを吹っ飛ばすと起き上がる前に、鎌の先端を喉元に向ける。

「く・・・参った。」

カイトが一言そう言って、その勝負はそこで終わった。

「少しは成長したようだな。それに敬意を評して我から贈り物がある。」

うん、これは俺の好意だから遠慮なく受け取って欲しい。

俺はそう思って、先日手に入れた武器をカイトに渡す。

「・・・これは?」

カイトは半ば呆然としながら手元の武器を見る。

「先日、知人より得たものだ。種類は双剣。汝なら装備できるはずだ。」

「これって・・・武器なの?」

うん、カイトの言いたいこともわかるけど、立派な武器だ。

カイトの手元のものは、一見すればエノコロ草が2本あるように見える。

が、ちゃんと柄もあるぞ。

名前は『ネコジャラの双剣』。

店に売ろうかなぁ?と思ったけど、出来なかったから、カイトくんに贈呈だ!

これは100%好意だからな?

このとき、俺とカイトの間に冷たい風が通ったのを感じた。

 

 


その後、カイトがネコジャラの双剣を使ったかどうかは不明である。
 

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