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なんとか話をかけましたので更新します。
ただ、連載ではなく番外編です。
ちょっと二人のキャラの過去を覗いて見ましょう
砂時計は巻き戻る・・・・・・
物語の最初へと巻き戻る・・・・・・
それはまだ死神と少年が出会う前のお話・・・・・・
少年がまだなんの力も持っていない非力な存在であった頃のお話・・・・・・
のちの魔法使いと紫陽花と呼ばれる少年たちのお話である。
死神からの招待状~Zero Stage~
『魔法使いと錬装士』
「なぁ、■■」
■■は呼びかけられて、顔を上げるとそこには比較的よく話すクラスメイトがいた。
「なに?」
■■はすぐに顔を手元に戻す。
そのとき、■■は本のページを一枚めくった。
クラスメイトは■■の態度をいつものことと気にした風でもなく、話しかける。
「随分、分厚い本を読んでるけどそれって洋書か?」
クラスメイトがそう言いながら、■■の手にしている本を覗き込む。
本にはぎっしりと英語が書かれており、ざっと読んでみても自分で翻訳できそうになかった。
それを■■はスラスラと読んでいるのか、ページをもう一枚めくってから顔を上げた。
「おう!この間、映画にもなったしせっかくだから原作も読んでみようと思ってな!」
そう言ってニッと笑う■■は、本当に楽しそうで・・・・・・そのために授業は悲惨のクセに洋書をらくらく読むその根性?がすごいと思った。
クラスメイトは■■に苦笑しながらも、そうやって一生懸命になれる彼を素直にすごいと思う。
「・・・・・・おまえ、趣味のためなら労力を惜しまないよな~、この間は指●物語の原作読んで、その前は●レン・●ャンじゃなかったか?」
「おう!やっぱファンタジーが一番面白いぜ!現代モノとか近未来モノもいいけど、俺はファンタジーが好きだな。」
そう言って、またペラリと■■はページを一枚めくる。
その顔は本当に楽しそうで、それを共有できない自分が少し悔しく思えた。
自分だってファンタジー物のゲームやマンガは好きだ。だが、彼のように原作まで読み込むようなことはしない。
他の人間がそうであるように、その表面上のものを楽しむのが常だ。
その奥の深いところまで楽しむ■■に感心と呆れの中間のような微妙な顔で話を続ける。
「それにしてもそんなにファンタジー物ばっかり読んで、おまえは騎士とか勇者にでもなりたいのか?」
「ん~?どうだろうな、俺はどっちかっていうと魔法使いになっていろいろと物語を引っ掻き回してみたいな!ほら、なんかシリアスな場面とか悲しい場面をギャグにするとか!」
そう言った■■の顔は、口調とは裏腹に淡い微笑を浮かべていた。
そんな顔を今までみたことのないクラスメイトは、内心動揺しながらも話を続ける。
「へー、なんかおまえらしいな。俺だったら裏で暗躍するのがいいな!ほら、なんか主人公よりだけど立場があいまいな感じの中立存在!」
「キーパーソンってヤツか?でも、おまえに勤まるのかよ?」
「お?こうみえても、計画をたてるのは得意だぞ。」
「そんでどっかでいっつも破綻するんだよな。夏休みの宿題計画をたてたはいいが、思わぬアクシデントでギリギリで終わらせる。」
「な・・・・・・なぜそれを!?」
「・・・・・・マジかよ」
冗談で言ったはずの■■は、呆れたような顔をしてクラスメイトを見やって再び本に目を落とした。
クラスメイトはそれ以上ジャマするのは無粋と思い、■■の席から離れた。
それが■■との最後の会話だとは露とも思わずに・・・・・・
ハイドは目を覚ました。
目に入る青空に一瞬、自分はどこにいるのか解らなかったが、すぐに思い出した。
「そっか・・・・・・『The World』の中だっけな・・・・・・」
ハイドは寝ぼけ眼を擦りながら立ち上がると、簡単に体を叩いて埃を落とす仕草をする。
電子の世界でそんなことをする必要はないのだが、ほとんど反射でやっているのだ。
「それにしても・・・・・・懐かしい夢を見たな・・・・・・」
ハイドの脳裏に『世界』に来る前に通っていた高校時代のクラスメイト・・・・・・自覚なしのトラブルメーカーの顔を浮かべて、泣きそうな顔で苦笑した。
「あいつ・・・・・・あの世でも相変わらずファンタジー好きなのかな・・・・・・?」
彼は突然いなくなった。
電車のホームから線路に落ちて、死んだのだ。
ハイドはそれが突然すぎて、何年経っても・・・・・・この『世界』に来ても彼がいなくなったことに違和感を覚えているのだ。
「なぁ、俺・・・・・・今、.hackのオンラインゲームの中でキーパーソンやってんだぞ?なんか『孤高』なんて二つ名もらって、ある意味ドットハッカーズより有名になっちまったんだ。おまえはそっちでおまえのやりたいめちゃくちゃで、楽しい時間を過ごしているのか?・・・・・・俺もいつかそっちで会えるのか?」
電子の中に閉じ込められた自分がちゃんとあの世に行けるかわからない。
それでも、ハイドは願う。
たとえどんな形でも、もう一度彼に会ってふざけあえる友達になれることを・・・・・・
「あれ?」
その時、ハイドは空気が微妙に揺れたのを感じた。
誰かエリアに入ったのかと思ったが、なにかおかしい。
それが何かは明確に説明できるわけではないが、ハイドはいつもの空気と違うように感じてその場所に向った。
目の前に見たことのない魔方陣が浮かび上がって、その中心から見たことのないエディットの呪文使い?が現れた。
その呪文使いが振り返ると・・・・・・
自分の記憶より幾分か幼い・・・・・・
トラブルメーカーの魔法使いがいた。
ハイドはその魔法使いに驚きながらも、口元は笑みを浮かべた。
神様もなんて粋なことをしてくれるのだろう。
まさか、本当にこんな日がくるとは思わなかった。
ハイドは意を決して口を開く。
「俺はハイド。ようこそ、『The World』へ!」
魔法使いもハイドに驚きながらもにっと笑う。
「俺はリオン。歓迎、ありがとう!」
こうして最凶魔法使いと暗躍大好き錬装士の邂逅が相成った。