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しとしとしとしとしとしとしと
延々と振り続ける
しとしとしとしとしとしとしと
なにものにも恵みを与えない・・・
変らぬ雨が・・・
「こんなところでなにをしているんだ?」
雨の降るフィールドで、アルビレオは見覚えのある後姿に声を掛けた。
その声に振り返ったのは青の双剣士。
双剣士は振り返るとニカッと笑った。
「ちょっと雨に当たりたくなってな。」
双剣士・・・ハイドは水滴が滴る前髪を払うと水滴はそのまま地面に吸い込まれていった。
「風邪を引くぞ。」
アルビレオはとくに顔のモーションを動かすことなくそう言うが、瞳は呆れた色が濃く映っていた。
それを正確に読み取ったハイドは、苦笑しながらも雨の中をくるくると回った。
まるで雨と踊るかのように。
「平気だよー。ちょっと冷たいけどこのくらいなら風邪引かないって!」
「引かれたら『世界』がウィルスに感染する。」
おどけたように言うハイドに、アルビレオは容赦なくそう言った。
「ひどっ!いくらなんでもそれはひでーよ!俺自身を心配しろよ!!」
「これでも、一応はおまえの心配をしているんだ。」
「いや、その態度は『俺』じゃなくて『世界』の心配だ!!いいよ、今度ヘルバに風邪を引いた時用のワクチンプログラムを作ってもらうから!!」
「そうしてもらえ。それと、雨のフィールドに出たらこれを着とけ。」
アルビレオはそう言って肩を竦めると、コントロールパネルから二つのアイテムを取り出しました。
それを受け取ったハイドは微妙な顔でアルビレオを見ます。
「・・・これって・・・」
「レアアイテム。傘と長靴と雨合羽だ。」
そう!雨のときのお子様3点セットで有名な黄色いアレ!!
「・・・俺、一応四捨五入で20歳なんだけど?」
ハイドの頬は引きつりまくっているが、アルビレオの目は100%善意で出来ている。
「おまえが雨に濡れすぎて風邪を引かないようするためのものだ。大人しく着ろ。」
(だからって幼稚園児が着るようなデザインのものを渡すなよ。)
ハイドはなんとか突っ込みを飲み込んで、それを着込む。
ハイドの姿はいつもの双剣士の姿から、幼稚園児の格好をした15,6の少年だ。
「・・・は、はずい・・・」
「それなりに似合っているぞ。」
ハイドはなにか文句を言おうとしたが、「これはアルビレオの好意、これはアルビレオの好意・・・」と、自分に暗示をかけるかのように内心で呟く。
「・・・うれしくねぇのはなんでだろうな・・・」
かわりにこう答えた。