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俺はこの世界の住人。

もとはリアルの人間でも、今の俺にとってここが現実。

最初はゲームの世界に来れたことが純粋に面白かった。

だけど、今はこの世界が愛しい。

プレイヤーたちの笑顔が嬉しい。

だから俺はこの世界のために、やれることをする。
 


.hack//hydrangea
『データドレイン』








「さて・・・今日はどうするかな?」

俺はマク・アヌの自分のホームで、くつろぎながら今後のことを考える。

カイトたちが今、どのくらいのところにいるのか解らない上に、『悪性変異』までしか知らない俺。

カイトたちも随分強くなっているけど、俺の攻撃、動きについてこれるほどになってるけど、まだ未熟っぽい。

俺は深いため息を吐くと、ホームから出てカオスゲートに向かう。

今日はいつも通り、カイトたちに稽古をつけてやるか。

 

 

 

 

ガキィィィィィン!!

俺の大鎌がカイトの双剣を弾いた。

「はぁ・・・はぁ・・・参りました・・・」

カイトは息も絶え絶えにその場に座り込む。

なかなか粘るようになったじゃないか。

俺は内心カイトの成長を嬉しく思い、ローブの下でにっこり笑った。

「最近、成長が著しいな。それに・・・」

俺はそこでカイトと同じように座り込んでる今回の同行者に目を向けた。

1人を重剣士で、もう一人は剣士。

重剣士はブラックローズじゃない。

まるで侍のような風貌の隻眼の戦士。砂嵐三十朗。

もう一人の剣士は白銀の鎧を着た、背中に純白の翼を生やしたお人。

・・・まさかバルちゃんがいるとは思わなかった・・・

「良き仲間に巡り合ったようだな・・・」

バルムンクに正体がばれないかどうかちょっとヒヤヒヤすっけど、俺は2人に歩み寄る。

2人・・・というかバルムンクは俺のことを思いっきり睨んでる。

前にからかったことをまだ根に持ってるのかな?

「これからもカイトのことを・・・」

よろしく頼む。

俺がそう言おうとしたとき、いきなり地震のようなものが起きて、まわりのグラフィックが崩壊し始めている。

「な!?」

「一体、なにが起こっているんだ!?」

「なにかが来るぞ。」

カイトたちが身構える中、俺は回復アイテムを使ってみんなを回復させる。

こんなこと出来る奴、八相の奴かクビアくらいだ。

準備を怠るわけにはいかねー!!

俺は回復を終えると、BBSに書き込みをしてアルビレオかヘルバに連絡を取る。

来てくれるかどうか解らないが、やっておいて損はないはずだ。

さーて・・・鬼が出るか蛇が出るか!!

俺が大鎌を構えて全ての準備を終えると、そいつは姿を現した。

異形の顔に、木の根のような体。

よりにもよって、クビアかよ!!

「・・・カイト、砂嵐三十朗、蒼天のバルムンク。ここは我が食い止める。」

その間に逃げてくれ。

俺は言外にそう言うが、こいつらが素直に応じるわけない。

案の定、武器を構えて俺の横に並ぶ。

「そんな訳にはいかないよ。」

「俺もカイトと同意見だ。第一、逃げ切れる保証も無い。」

「貴様は気に食わないが、今はこいつをなんとかするがの先だ。」

カイト、三十朗、バルムンクが口々にそう言ってくる。

俺は不覚にも感動してしまったけど、今はその余韻に浸っている暇はない。

「いくぞ!」

俺は先行して、クビアに切りかかる。

それと同時に小さなクビアコアがこちらに向かってくる。

・・・はやい!!

俺はなんとかクビアコアを切り伏せるが、何体か取り逃がしてしまった。

そして、その一体がカイトに向かって・・・

ヤバイ!今のカイトたちじゃまともに食らったら・・・

俺がそう考えると同時に、体が勝手に動いていた。

「カイト!!」

カイトの体を突き飛ばすと同時に、体に受ける激痛。

その衝撃にフードが外れて、俺の顔が顕になった。

重力に従って、倒れそうになった俺の体をカイトが受け止めてくれた。

「ハイド!!?」

「はは・・・ワリィな、カイト。今まで黙ってて・・・」

バルムンクと三十朗も驚きの顔で、俺のほうを見てる。

俺は大鎌を杖代わりにして、ゆっくり立ち上がるとクビアのほうに向き直る。

「なんで・・・『闇の紫陽花』がハイドなんだ・・・?」

俺からは見えないが、カイトの声に困惑と驚愕があるのは明白だった。

「・・・理由ならあとでいくらでもしてやる・・・今はこいつをどうにかして逃げるぞ!!」

俺はローブを脱ぎ捨てると、クビアに向かって駆け出す。

クビアコアを切り伏せながら、俺はクビア本体に向かう。

そして、クビアの近くまでいけた俺は、クビアの木の根のような本体を何本か斬った。

けど、あまりダメージを受けていない。

畜生!やっぱカイトの腕輪を破壊しないとだめなのか!?

「蒼天大しゃ・・・!!」

俺がスキルを繰り出そうとした瞬間を、まるで狙ったようにクビアの触手が俺の体を捕らえた。

「うわーー!!」

「ハイド!?」

ぎりぎりと縛り上げられる俺の体。

・・・くっ首を縛るな、首を!!

い・・・息が・・・

俺は酸素不足で意識が朦朧としてきた。

視界の端に、クビアコアを倒しながら、なんとか俺のところにたどりつこうとしているカイトたちの姿があった。

カイトたちから少し後方のところに2つの金色の環が見えた。

「アル・・・ビレオ・・・ヘルバ・・・」

来てくれたんだ・・・

俺はまともに動かない手を必死に動かして、2人に手を伸ばす。

それと同時に俺を縛る力が強くなった。

「・・・カハッ・・・」

やばい・・・本当に意識が・・・

スノーフレークが俺の手から離れる。

地面に落ちた金属音がやけに遠くに聞こえる。

俺は薄れいく意識の中で、最後に見たのはクビアから放たれる輝く光だけだった。

 

 

 

 

 

 

(カイト視点)

僕は最初、ヤスヒコを助けたくてこのゲームを続けている。

だけど、いつの間にかあの人たちに追いつきたいと思う僕がいるのに気がついた。

僕が追いつきたい人は、2人いる。

一人は僕と同じ同型のPCをした双剣士のハイド。

もう一人は、通常のエディットじゃない黒いローブを纏い、対照的な白い大鎌を持ったハイドランジア。

ハイドはその二つ名に似合わないほど、明るくて気さくで、そしてとても強い人だ。

ハイドランジアはなにかしら助言をくれて、僕や仲間達に稽古を付けてくれたりしてくれた。

2人にどんな形でも、認められるのがすごく嬉しかった。

クビアが現れたときも、ハイドランジアと一緒なら大丈夫だって無意識に思った。

けど、ハイドランジアが僕を庇って攻撃を受けたとき、初めてその顔を見て驚いた。

だって・・・その顔が僕の尊敬する、追いつきたいと思う人の顔なんだから。

「はは・・・ワリィな、カイト。今まで黙ってて・・・」

そう言って、笑った顔はいつものハイドの顔で、本当に苦しそうにしていた。

黒いローブを脱いだ彼は本当にハイドだった。

その手に持った武器は双剣じゃなく、ハイドランジアの白い大鎌だった。

彼は苦しそうに立ち上がると、クビアに向かっていった。

クビアコアを次々と倒すハイドは、本当に強かった。

けど、クビアにたどり着いたハイドは、クビアの触手に捕まってしまった。

それは僕達にとって衝撃でもあった。

あんなに強いハイドが、容易く捕まってしまうなんて。

「ハイド!」

「無事なの!?」

そこに僕達の背後から、ヘルバと知らない重槍士が現れた。

2人は必死の形相で、ハイドの名前を呼ぶ。

それと同時に、クビアから見慣れた光がハイドに向かって放たれた。

あれは・・・データドレイン!?

 

 


「うああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

ハイドの絶叫が僕達の耳に響いた。

それと同時にハイドのPCが壊れていく。

あの時と同じ・・・ヤスヒコの時と・・・

ハイドとヤスヒコが重なって見えた。

「ハイドー!!」

僕の声は虚しく、エリアに響き渡った。
 

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