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「ただいまー!」

俺はあの後、その辺のいた魔法使いをおどし・・・とと、お願いして無事に『漏れ鍋』についてフルーパウダーで帰ってきたのだ。

「あー、なんか疲れた。」

俺は荷物を適当にテーブルに放る。

カチャン

そのときに、ノクターン横丁で買ったブレスレットが荷物から零れ乾いた音を立てて床の上に落ちた。

「あ・・・」

そういや、これ買ったの忘れかけてたな。(忘れんな!!by朱雀)
俺はブレスレットを拾い上げてそれをまじまじと見る。
やっぱり綺麗だよなぁ・・・つけてみよv
俺は何の考えも無くそのブレスレットを左腕にはめる。
やっぱり魔法界の物らしく、サイズが俺の腕にぴったりになる。
便利だな・・・!!
ブレスレットを身に着けた直後、俺はなにか力が吸われていく感じがした。
やべっ!やっぱ、身に着けるべきじゃなかったか!?

『ふー・・・すごい魔力のキャパだね。』

俺の背後に若い男の声が・・・
俺は恐る恐る後ろを向く。
そこには、年は20歳ほどで、黒髪短髪、紅眼の女の子なら絶対キャーキャー言いそうな美形君・・・もしやと思いますが・・・

「誰・・・?」

なんか、すっごい嫌な予感ひしひし感じるー!!!?

『あ、僕の名前はトム・M・リドル。記憶だよ。』

あ・・・ははははははは、やっぱ、りどるんっすかー!!!!!!

「なぜ!どうして!ヴォルデモード卿の記憶がー!!!?」

『・・・どうして僕が闇の帝王の記憶だと?』

「エ?ボクナニカイイマシタカ?」

口に出した覚えは・・・

『思いっきり口に出してるよ。』

「し・・・しまったーーー!!!」

俺が絶叫してうろたえているのに、リドルは口に手を当てて肩を震わせて笑いをかみ殺そうとしてやがる。

「ちきしょう!笑いたけりゃ、笑えよ!!」

『くくくく・・・あはははははははははは!!ごめんごめん、あまりにも君がおもしろくてね。さて、僕が闇の帝王の記憶だと見破った君をどうしようかな?』

そう言って、リドルはにやりと口の端だけで笑った。
やばい・・・本気でやばいかも、死神さーん、また会うかもしれませ~ん・・・

『ま!別にいいか!』

ズデッ

「軽すぎだろ!!」

それでも闇の帝王の記憶か!?

『いや、僕は本体から見捨てられたようなもんだし。今更あんな奴と同一の存在だと思われたくないな。マグルとか純血とかってどうでもよくなったしね。』

・・・なんですかそりは?
 


死神からの招待状~Prologue~
『リオンとリドル』







「つまり、話をまとめると本体であるヴォルデモートが自らの手で人を殺す前に作られたが、その時の部下がうっかり失くしてしまい、それっきり人手に渡りに渡り、その間に世界中を見て、(記憶にこういうのもなんだけど)人生観が変わって今に至る・・・これでいいのか?」

俺がリドルから聞いた話をまとめるとリドルはぱちぱちと拍手をしてくれた。
なんか軽いなぁ。

『合ってるよ。僕自身ヴォルデモートなんかどうでもよかったんだけど、ちょっと前から恨みを持つようになってね・・・復讐しようと思って、ノクターン横丁で魔力をかき集めていたんだ。それにしてもリオンの魔力はすごいな。僕が実体化してもなんともないなんて・・・』

へっそうなの?

「俺、ピンピンしてるけど?」

『自覚なしか・・・僕としてはありがたいけどね。(下手したらヴォルデモートに狙われるな・・・)』

「ん?なんか含みがあったような・・・」

『気のせいだよ』

かくして、この日から俺とリドルの奇妙な共同生活が始まった。





リドルとの共同生活もある程度慣れて1週間過ぎた。
最初はリドルにダイアゴン横丁をいろいろと案内してもらっていたんだけど、今日は家のまわりを探検することにした。
家が丸太小屋だからある程度想像してたが・・・見事な樹海です。

「うわ~・・・富士の樹海以上じゃねぇか?」

俺は家も見えなくなるぐらいまで、歩き続けていた。
遭難したら洒落にならねぇ。

『この程度の樹海。魔法界じゃ珍しくないよ。ちゃんと目印さえあれば・・・』

そこでリドルの言葉が不意に途切れた。
心なしか顔が青い。
・・・・・・まさか。

「目印・・・つけてない?」

まさかねぇ~リドルがそんなことあるわけないよな?よな!?
俺は願いを込めてリドルの顔をじっと見る。
数分か数秒か、リドルが顔を逸らして一言『ごめん。』と謝った。
うわ~闇の帝王の記憶に謝られちゃった~アハハハハ・・・・・・・

「ちょっとまてーい!!!それじゃ、俺らこのまま下手したら野垂れ死にじゃねぇか!?」

こんなに早くもっかい死にたくねぇよ!

『いや・・・丸太小屋とはいえ、あの家は結構大きいし開けた場所にあったから木の上から見渡せばなんとか・・・』

そう言われて、俺は上を見上げる。
よっぽど気候と土がいいのか樹海の木はすごくデカイ。
直径3~4メートルの太さに高さ30メートル以上ありそうな木の天井。
これを俺に登れと?

「・・・」

『・・・・・・まぁ、頑張れ?』

リドルの言った方法以外、俺に案もあるわけなく、俺はなんとか木に捕まりながら登り始める。
リドルは俺の横をふわふわと浮きながら、がんばれーとエールを送ってくれるがうれしくねーぞ!
俺の体は11歳のガキのもの。
手も足も死ぬ前より短いし、握力もないからすっげー苦労するなーと思いながら登っていたんだが・・・
『あっという間に天辺にたどり着いたね。リオンって運動神経いいんだね。』
うん。自分でもびっくりしてる。
体が異常なほど軽く感じる。
木にしがみつくだけでも精一杯だと予想していたのに、軽々と枝に掴まり、するすると登れた。
体力もほとんど消耗しておらず、むしろ有り余っている感じだ。
息切れも起こしていない。
おかしい。
明らかにこれは異常だ。
俺はお世辞にも運動神経が良いとはいえない。
むしろドンくさい部類だ。
11歳の頃は体も出来上がっていないから尚更だ。
俺はゆっくりとまわりを見渡す。
そこは予想通り森ばっかりで、集落や村(町なんて以ての外)なんて見えない。

うわ~・・・買い物なんかはフルーパウダーオンリーになりそうだな。

俺は現実逃避しかけたが、すぐに頭を振ると家の方角を確認する。
幸いにもここから森の開けた場所が確認でき、丸太小屋の屋根が見える。
俺は何度も方角を確認すると、今度は自分の真下を見る。
地上より30メートルは確実にある。
常人ならなんらか恐怖を感じておかしくない高さだ。
けれど不思議だ。
今の俺はこの高さについてまったく恐怖を感じていない。
むしろこれより高くても平気だと、心のどこかで思っている。

『リオン?』

リドルが不思議そうに俺の顔を見る。
俺はリドルの言葉に返事を返さず、しばらく下を見て・・・






そして落ちた。





『りりりりりり!?リオン!!!!!!?』

リドルが慌てて俺を追いかけて落下・・・とはちょっと違うけど、垂直に滑り落ちてくる。
なんかリドルがこんなに慌てているのって変なの。
俺はくすりと笑っていると、地上がすぐそこまで迫っていた。
俺は自然な動作で猫のように体を一回転させると、軽くストンと着地した。

「・・・・・・出来た。」

俺は自分でやっておきながら、呆然と呟く。
俺のすぐ近くまで追いついたリドルも呆然と俺を見る。

『なんで・・・普通なら死んだっておかしくない高さから飛び降りたのに、魔法も使わず着地するなんて・・・』

俺はリドルの言葉に再び上を見る。
今更ながら、自分でも確証があるわけでもないのに無茶やったな~って思っているよ。
そして、俺は自分の手を見る。
なんの変哲もない11歳のガキの手。
俺はその手を握ると、おもむろに地面目掛けて振り下ろす。
そんで・・・

ズドォォォォン・・・

「『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』」

あの・・・なんで直径2~3メートルのクレーターが出来るんですか?
俺はてっきり手が深く陥没するぐらいしか予想してなかったんですけど!!?
とりあえず、この異常現象に心当たりは一応ある。
俺は深いため息を吐くと、空に向かって


「やりすぎだ死神ー!!!」

叫んだ。つーか、吼えた。
これくらいは許してくれよ。






『・・・なるほど。つまり死神から身体能力が向上していることは聞いていたけど、これほどとは思わなかったと。』

「おっしゃるとおりです。」

『それにしても凄い力だね。その力があれば、ヴォルデモートが相手でも引けは取らないと思うよ。』

俺は一通り体を動かして、リドルと一緒に丸太小屋に戻って事情を説明した。
ついでに俺が異世界から来た事とかも含めて洗いざらい吐いた。
これから長い付き合いになるんだし、俺が嘘を吐きたくなかったからな。

『普段動く場合は平気なんだよね?』

「あぁ、意識してやればあの力が出る。どうも普段の生活は無意識のうちに制御してるみたいなんだ。」

だからこの一週間力のことに気がつかなかったんだ。
俺は自分の手のひらをじっと見る。
あんな化け物染みた力が俺の中にある。
上手く使えばこれほど便利なことはない。
だけど一歩間違えば、関係ない周りの人間を傷つける可能性がある。
普段は力を抑えているから良いけど、こりゃ対策考えたほうが良いな。

「りどるん。重力系の魔法って使えるか?」

『使えるけど、なんだいその"りどるん"って?』

「愛称。使えるなら、重力を数倍付加させたブレスレット作ってくれ。それで普段の俺の力を抑制する。」

『いいけど・・・その分体重もかなり重くなるよ?』

あ~そういやそうだ。
地盤が緩いと底が抜けることがあるんだよな。

「・・・・・・自力で制御するか。」

俺の力だと重力10倍でも足りなさそうだしな・・・

『よかったら手伝うよ。』

「頼む。」

こうやって俺は、自分の力の制御もやることになった。



リドルとの関係はただいま良好。
 

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