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一体なにがおかしかったのだろう?
自分の人生どこで間違ってしまったのだろうか?
否、どこで?じゃない、自分が生まれた瞬間から間違いだったのだ。
自分にはある重大な秘密がある。
それは家族しか知らない重大な秘密。
たとえ姫殿下にも知らせてはならない重大な秘密。
自分と家族以外の人たちしか知らない・・・婚約者も知らない重大な秘密。
「おいおい・・・俺はどうなるんだ?」
「無機物は人の部類に入らない。」
「ひどっ!」
自分の人生は生まれた時から嘘だらけだ。
まず名前。
世間では自分の名はルイズと名乗っているが、本当の名前は違う。
自分の本当の名はルーク。
そしてこれが一番知られてはいけない秘密。
世間でルイズは貴族の娘と言われているが、本当は違う。
自分は・・・俺は貴族の息子だ!
なぜ自分が世間で女として扱われているのか簡潔に説明する。
簡単に言えば、俺は生まれた時から身体が病弱で、とある高名な占いの得意なメイジから俺を20歳まで女として育てれば丈夫に育つと言われて、それを真に受けた両親が俺を女として育てた。
こういうことだ。
実を言うと、俺の家では前例がないことじゃない。
俺のすぐ上の姉であるカトレアも、20歳まで男として育てられていたのだ。
名前もカトルとして名乗っていたが、20歳になってようやく堂々と本名を名乗れるようになったときの姉さんの喜びようは、本当に嬉しそうだった。
俺も速く本当の自分として生きたい・・・
効果のほうもカトレア姉さんで実証されてるように、今の俺は他の子より丈夫だと言える。
そんな俺だが・・・魔法が使えない。
否、魔法を使おうとすればことごとく爆発を起すのだ。
一体なにが原因かわからない。
父さんや母さんに言わせてみれば、俺の魔力はかなりのもので、魔法を使えないほうがおかしいと言われる。
そんなことを言われても困る。
俺は自分で魔法の才はないと諦めた。
否、諦めたというより、魔法以外のものにも手を付け始めたのだ。
俺だって姿はどうあれ男。
強くなりたいって願望もある。
だから魔法で強くなれないなら剣術で強くなろうと思った。
父さんや母さんは、それは貴族のすることじゃないと止めようとするけど、魔法の才能がない以上、武術でしか強くなれない。
だけど決して魔法をおろそかにしているわけでもない。
俺は魔法も剣術も同じだけ努力した。
剣術のほうはなかなかモノに出来たけど、魔法はいまださっぱりだ。
それはかの有名なトリステイン魔法学園に入学しても同じことだった。
「おい、俺の紹介はしないのかい?」
「うるさいぞ、無機物。」
「なんだと!?オレは由緒正しいインテリジェンス・ソードの・・・・」
「はいはい、うるさいから紹介してやるよ。」
さっき俺に口を挟んできたのは、俺の愛剣であるインテリジェンス・ソードのデルフリンガーだ。
俺がトリステイン魔法学園に入学するときの祝いとして、自分で選んで買った剣だ。
見た目はボロ剣だけど、かなり頑丈で重さも長さも丁度いい。
父さんはもっと綺麗な剣にしたらどうだ?って言ってたけど、他のはみんなナマクラばっかだったからこれにした。
それ以来、俺は極力デルフを背中に背負って生活している。
当然、まわりの奴らからは奇異の目で見られ、からかいの対象にされる。
まぁもっとも、そんなのは全て無視だけどな!
そして今日。
俺は2年生に進級する。
自分の属性にあった使い魔を召喚する『召喚の儀』を経て。
「次、ミス・ヴァリエール!」
「はい。」
コルベール先生に呼ばれて、俺は前に出る。
「五つの力を司るペンタゴン。」
別に使い魔なんて俺はどうでもいい。
「我の運命に従いし」
でもいなければ、俺は進級できない。
「使い魔を召喚せよ!」
ドラゴンやグリフォンなんて言わないから、せめてまともな使い魔が来てくれ!
どぉぉぉぉぉぉん!
激しい爆音と共に、なにかが召喚された。
煙でよく見えない。
しばらくして煙が晴れてきたとき、俺は自分が召喚したものをはっきりと見た。
見たことも無い服を着た俺と同じ年頃の男が出てきた。
・・・始祖ブリミルよ。
これは俺に対する何かの罰ですか?
春の使い魔召喚の儀で呼び出した使い魔との契約方法を熟知した上で、俺にこんな使い魔を召喚させたのですか?
召喚の儀で呼び出された使い魔との契約方法・・・それは口付け。
猫や犬、蛙やモグラならまだいい。
だけどな・・・人間の、しかも男が相手?
「どちくしょーーーーー!!!!!」
この日、俺は使い魔を得た。
それと同時に、心に大きな傷を負って・・・